2017年2月14日火曜日

7'sCarlet/甘梨イソラ

柿原徹也さん演じる甘梨イソラの感想です。


-----☆★☆-----


お帰りなさい、僕のお姫様

幼い頃、彼女は奥音里に居た。
昔の記憶が曖昧な彼女は、
そんな事は忘れてしまっている。
けれど、彼は決して忘れなかった。

だって、あの夏に彼は恋に落ちたのだから。
料理と彼女への永遠の想い。

-----

それはまだ彼が幼かった頃、
彼の誕生日を祝うためにと、
両親と共にフレンチを食べに行った。
父と母と、フルコースを
「美味しいね」と言いながら、
とても幸せな時間を過ごした彼。

だから、コースの終わりが近づくにつれ、
寂しくなってしまった。
こんな素敵な時間はもう終わるんだ…と。

一通り食事を終え、
夢が終わってしまった気分になった彼。
けれどその彼の目の前に、
色鮮やかなスイーツが現れた。

まだ夢は終わって居なかった。
美味しかった記憶も、幸せだった記憶も、
食事の最後を花火みたに彩るスイーツにより、
更に素敵な物に変わった。

凄い、これが夢の続きなんだ。

そうしてパティシエに憧れた彼。
でも、そこでは多分まだ憧れで、
本気でパティシエを目指すキッカケをくれたのは、
とある女の子との出会い。

彼女はこの街の人ではなくて、
夏の間両親が海外に行くために、
奥音里に預けられて居た。

ある日、彼はチョコドーナツを作ったものの、
母は忙しくそれを持て余して居た。
そんな所に現れた彼女。
匂いに釣られ、彼の家の庭へとやって来て、
彼のドーナツを食べて喜んでくれた。
彼にとって、初めてのお客さん。

夏の間しか居ないと言うその子に、
彼は色々なスイーツを食べさせたくて。
毎日違ったものを用意しては、
彼女を待つように。

そうして彼女は、
いつも大喜びでそれを平らげて居た。

そんなある日、
彼は彼女のためにタルトを作った。
イチゴが大好きだと言う彼女は、
イチゴタルトに大喜びで。
嬉しそうに頬張ったものの、
突然それを吐き出して苦しみ始めた。

彼はまだ幼くて気づかなかったけれど、
タルトに使ったイチゴは腐って居て。
それが原因で苦しんだ彼女。

自分のしたことに
ひどくショックを受けて居た彼の元に
元気になったら彼女が現れ、

この前はせっかく作ってくれたのに、
吐いたりしてごめんね。
また作ってくれる?

…と信じられない事を口にした彼女。

病院に行くほど大変な思いをしたのに、
彼のスイーツをまた食べたいと言ってくれた。

パティシエになろう。
彼女を喜ばせる美味しいスイーツを作ろう。

その時彼は決意したのです。

そうして奥音里禁忌倶楽部で再会したものの、
幼い頃の記憶が曖昧な彼女は、
彼の事を覚えて居ない。

それでも彼は彼女だと確信して居たから、
彼女に降りかかる危険から
必死に彼女を守ってくれた。

監禁と言う極端な手段に、
一度は彼を疑いそうになった彼女も、
献身的にお世話をしてくれる彼を信じて居た。
そうまでして守って居たのに。
ラー油がないことに気づいた彼が、
あの部屋から出て鍵を掛け忘れてしまった時、
彼女に傷を負わせた犯人が現れた。

事前に上で気絶させられていた彼だったが、
必死に彼女を助けに来て、
自らの腕と手を犠牲にして彼女を守った。

犯人ともみ合う中、
蝋燭が倒れ、監禁に使われていた部屋が燃え、
犯人との戦いで酷い傷を負った彼は、
炎の中で気を失い、
彼女が必死に彼を連れて外へ。

二人は無事保護され、
焼け跡からは犯人と思われる遺体が。
警察のデータベースにはない為、
焼死体の身元は分からないまま。

でも、二人とも助かった。
彼の手も神経に問題は無く、
これからも美味しい料理を作れる事に。

何が食べたい?と尋ねる彼に、
イチゴを克服したいから、
イチゴタルトがいい…と応えた彼女。

彼女のイチゴ嫌いは
自分のせいだと思って居た彼は、
その言葉に救われたのかも知れない。

-----

お姫様のご希望とあらば、
とびきりのものをご用意致しましょう。
だって君は、
あの頃からずっと、
僕の僕だけのお姫様だから。