2017年2月16日木曜日

7'sCarlet/叢雲ユヅキ

三木眞一郎さん演じる叢雲ユヅキの感想です。


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屍者をあるべき場所に還す。
それが本当の屍葬組のあり方なんだ。

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彼の父は街を牛耳る叢雲家の当主。
この奥音里では、梅雨が終わると、
伝説の通り屍者が蘇る。
蘇った屍者は、生者の命を奪い続けなければ、
この世に存在することが出来ない。
だから、叢雲家は表向きは自警団である
屍葬組を組織した。

屍葬組の仕事は死者の駆除。
屍者は塩をかけて火で燃やすと、
紫姓草の花の様に、
紫色の花びらとして散ってしまう。

その時、必ずと言っていいほど、
屍者は断末魔を上げる。
それは消える苦しみなのか?
消えてしまう悲しみなのか?

彼はそんな事を考えていた。

幼い頃から、街を守る為だと
屍葬組の頭を継ぐべく
英才教育を施された彼。

だから、それが正しくて、
それは自分の義務だと思っていた。

なのに、彼の屍葬組デビューの時に
出会った屍者により、
彼のその概念は覆された。

出会った屍者は烏丸さんの妻ツヅリ。
彼女は自分の夫の小説家デビューの直前に
命を落とし、
どうしても夫に「おめでとう」が伝えたくて
屍者として蘇った。

屍者は人を喰らう化け物。
そんな風に言われていたのに、
彼女は違っていた。

殺人衝動は体の中にあるものの、
理性で押さえ込んで、
愛する人に言葉を伝えたら、
そのまま消えたい。

そう彼に訴えた。
彼は最初こそそんなはずはないと、
聞く耳を持たなかったが、
彼女と話すうちに、彼女を信じてみたくなった。

そうして小銭がなくて
電話が出来ずに困っていた彼女に、
小銭を渡し、夫と話をする機会を。

彼女は彼に死んだ事を詫び、
自分のぶんも強く生きて
幸せになって欲しいと伝え、
最後に「おめでとう」と告げた。

けれど、そこで他の屍葬組のメンバーに見つかり、
彼が守ろうとはしたものの、
彼女は結局自分の意思で消える前に、
屍葬組により駆除されてしまった。

だから彼はまちがっていると思った。
彼女なら、言葉通り、
思いを告げたらあるべき場所に
自ら還ったはずだから。

そうして彼は屍者が蘇る理由、
そんな屍者を還す方法を考えるように。

そんな彼の思想を快く思わなかった彼の父。
その父により、彼は屍葬組の頭から、
一番下っ端にまで格下げされた。

それでも彼は考えていた。
蘇る屍者達を還す事は出来ないかと。

一人きりで抱え込んでいた彼の元へ、
兄を探しにやってきた主人公。
彼は彼女と出会った時に直感していた。
この出会いが全てを変えてしまうと。
そして、それが怖かった。

だから、彼女を遠ざけようとしていたのに、
どんどん近くなる彼女との距離に、
抗えないものを感じていた。
そうして気づくと彼女を大切に思うように。
彼女のお陰で、
彼を恨んでいた烏丸とも和解し、
彼のお陰で妻の言葉を聞けた事と、
妻の望むとおり強く生きる気持ちになれた烏丸は、
恩返しとして、彼のピンチを助けてくれた。

今年の屍者は風厘館に宿泊していた月読で、
彼を狩る時に不慣れなソウスケがミスをし、
そのために彼女が危なくなった時、
烏丸が現れ力を貸してくれたのだった。

そうして烏丸の協力により、
無事に月読を駆除。
その後、彼に感謝を述べて、
烏丸は街を去って行った。

月読が蘇った理由は、人を殺したいから。

出来れば屍者の意思を汲んで、
彼らが狩られる事なく還れるようにしたかった。
けれど、月読だけは例外として、
駆除され紫の花びらとして消えて行った。

消えた月読の荷物から、
彼女の兄の手帳が発見された事から、
彼女の兄は既に亡くなっていると推測された。

どこかで覚悟はしていたものの、
兄の死を知り、穴が空いた気分になる彼女。
けれどもう1人ではない。
命をかけて守ってくれる人が居るから。

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おまえの心に空いた穴は、
俺がそばで少しずつ埋めてやるから。
だからずっと俺のそばに居てくれないか?