2017年2月17日金曜日

7'sCarlet/真相/櫛奈雫トア

森久保祥太郎さん演じる櫛奈雫トアの真相の感想です。


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ぼくは君に貰った勇気でここまで生きてこれた。
あれが始まりだとしたら、
きみで終わりにして欲しいんだ。

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俺は女しか殺さないんだ。

捕まった月読は確かにそう言った。
けれど事件は三件。
月読の供述が真実だとすれば、
ケイスケの父を殺したもう一人の屍者が居る。
それも風厘館の中に。

誰が犯人か?
みんなで集まり、ユキをリーダーとして
人狼ゲームのような事を始めた時、
ユアが自分が屍者だと名乗りをあげた。

けれど、ユアが犯人では違和感が残る。
そうしてユヅキは自らの腕をナイフで刺した。
屍者であるならば、
生者の血に反応するからと。

読み通り屍者は反応を示した。
それが彼、櫛奈雫トアだった。

彼は故郷でのライブを楽しみにして居たから。
だから、この奥音里に来る途中、
街への入り口の橋で運転を誤り事故に遭ったのに、
気づいたら紫の花に囲まれて居た。

応援してくれたファンに、
何かを返したいと言う、
彼からファンへの想いの強さが、
彼を屍者として蘇らせた。

そうして風厘館にチェックインした彼は、
禁忌倶楽部のメンバーが顔を合わせた夜、
風厘館裏の河原でユアに打ち明けた。
自分が屍者である事を。

ユアは彼の双子の姉だったから。

当然殺人衝動はある。
それでもそんな事をしたら、
自分の中の何かが壊れてしまうと、
彼はそれを押さえ込んで居た。
そうして明日はライブの日。
もう蘇って一週間になる。
ここまで人を殺さずに存在出来た事は
不可能に近い。
彼自身も空腹に苦しみ限界を感じて居た。

それでも彼女が居てくれたから。
彼女を抱きしめることで、
僅かながら乾きが癒される気がした。

12年前、神社で
彼の歌を喜んで聞いてくれたあの時から、
彼女だけが彼の心の支えだった。
そして今も、彼女の存在が、
彼を彼としてここに留まらせている。

そんな彼の話を聞いて、
禁忌倶楽部のメンバーたちは、
彼があるべき場所に還るためにと、
協力することに。

一連の事件でライブを中止する話になったのも、
ユキの策により、
一曲だけ集まったファンのために
聴かせると言うことで、
なんとか了承が得られた。

けれど、会場に着いたら、
バンドを担当してくれるスタッフが居ない。
事務所の社長の命令で、
みんな帰ってしまったのだ。

だから、彼は急遽アカペラで歌うことに。
歌う曲はスターリー。
今の彼が存在できる奇跡が、
そのまま綴られたような歌詞の曲。

それを彼はファンと、
何より愛する彼女のために熱唱した。

間奏部分にたどり着くと、
彼の元ピアニストのマネージャーが、
彼の歌に合わせてピアノの伴奏を始めた。
美しい慈愛に満ちた旋律に、
彼は歌の続きを乗せた。

そうして一曲が終わったその時、
彼は紫色に光り輝き、
花びらのように消え始めた。

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ありがとう。

ファンのみんなへの感謝を残し。

ありがとう。
きみに会えてよかった。

愛する彼女への感謝を残し。