2017年2月12日日曜日

神々の悪戯/ロキ・レーヴァテイン

細谷佳正さん演じるロキの感想です。


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なんで初めて本気で
好きになったアンタが、
よりによって人間だったなんて!

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イタズラ好きのロキは、
北欧神話の世界でも、
誰彼構わずイタズラしていました。
そんな彼の行動を、
周りの神々はよく思わず、
気づくと彼はひとりぼっち。

けれどそんな時出会った光の神バルドル。
彼もまた誰からも愛されるその特性の為、
常に大勢に囲まれながらも孤独を抱えていた。

そんなバルドルに対しても
彼はいつものようにイタズラをした。
きっとみんなと同じように、
怒ったり呆れたりされると思ったのに。

バルドルだけは違っていた。
彼の仕掛けるイタズラを
いつも楽しんでくれた。

皆に愛されるが故に孤独だったバルドルに、
彼のようにイタズラをして来るものなどなく、
だから嬉しかったのかもしれない。

まるで必然だったかのような二人の出会い。

ともに孤独だった二人はそうして親しくなり、
トールを含めよく三人で過ごすように。
それはとても暖かく楽しい時間だった。

なのに、そんな時間は
そう長くは続かなかった。
バルドルは不死身でありながら、
不治の病に冒されていたから。

いつもひとりぼっちだったロキに、
やっと出来た大事な大事な友達。
なのにバルドルとのその関係は、
理不尽な不治の病によって
引き裂かれようとしていた。

箱庭での時間が限られているのなら、
一緒に北欧神話の世界に来れば済むと、
そこまで考えていたのに。

彼女が人間だと知ってしまった。
大切なのに、愛してるのに。
失うことが怖いほどに。

だって今まで唯一大切だと思ったバルドルも、
そしてもう一人やっと出来た最愛の彼女も、
すぐに彼を残して居なくなるのだから。
またひとりになってしまうのだから。

ひとりは嫌だ。
ひとりは怖い。
ひとりは寂しい。


誰かと過ごす温かさを覚えた彼は、
もうひとりには戻れない。
だから、箱庭で彼女と出会い、
ともに過ごす時間のなか、
彼女をとても大切に思ったのに。
愛おしいと思ったのに。

人間が嫌いだったロキ。
けれど、悲痛な叫びをあげたのは、
それだけじゃなくて。
どんなに愛しても、人間が相手では
重ねられる時間の長さが違うから。
彼女もまた彼の手をすり抜けるように、
その命を終えてしまう。

だから戸惑ってしまった。
バルドルとの別れだって、
まだ全然心の準備も出来てないのに。

なかなか人に理解されない彼を
理解してくれた大切な人たちは、
ずっと彼とは居られない人ばかり。

悩み苦しんだ末に気づいた。
離れようと思っても、
手放そうと思っても、
そう出来ない程に彼女を愛している事に。

だから、たとえ限られた時間だとしても、
彼女を愛しているから、
その時間を大切にしたいと心から思えた時、
彼の枷が外れ、卒業出来る事に。

そうして彼女とともに北欧神話の世界へ。
バルドルとトールと、四人で過ごす日々。
それは学園でずっとこうしてみんなと
…と彼女が望んだそのもの。

人との寿命が違うから、
別れの日は訪れるけれど、
二人で、仲間と過ごせる暖かい時間を大切に、
1つ1つ思い出を
積み重ねていくことでしょう。