2017年2月13日月曜日

神々の悪戯/アヌビス・マアト

梶裕貴さん演じるアヌビスの感想です。


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アヌビス、最近、夜遅い。
知りたい事、沢山あるから。

大好きだから、大切だから、
彼女に気持ちを伝えたい。
彼女が話すその言葉で、
アヌビスも「愛してる」と。

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エジプト神話の冥府の神であるアヌビス。
彼は死んだ魂が
転生するのにふさわしいか否か、
それを調べる事が仕事。

魂を調べれば、その人がいい事をしていたか、
悪いことをしていたかを知る事が出来る。

そうして彼は知ってしまった。
人は人を裏切り、だまし、
殺しあう生き物だという事を。
なのに、平気で彼に嘘をつく。
ただ転生したいがために。

だから人が苦手だった。
嘘ばかりつく彼らが怖かった。
信じられなかった。
互いに殺し合う彼らだから。

そんな彼が人を理解するためにと、
箱庭に連れて来られたものの、
警戒心の強さから、
教室への登校も叶わない。
寮に住む事もなく、
図書室でトトと共に過ごしていた彼。

けれど学園内を自由に動き回る彼は、
ある日彼女にその姿を見られてしまった。

俊敏な彼の動きを
しっかりとは捉えられなかったものの、
物音がして白いものが横切ったと話す彼女に、
学園の神たちは、
「学校の怪談」だと盛り上がり、
正体を突き止める事に。

そうして彼女と出会ったアヌビス。

出会いは森の中。
野生の犬が他の動物に襲われて
倒れていたのを見つけた時。
冥府の神であるアヌビスは、
苦しんでいるその犬を助けたかった。
殺して転生させてあげようと思った。

なのに彼女がそれを止めた。
まだ生きているのに殺すなんてヒドイと。

死は怖いものじゃないのに。
ただ転生するために必要な事なのに。


彼には彼女の言う事が理解出来なかったし、
人間なんてそもそも信じられなかった。
だから人の言葉の話せない彼だけれど、
精一杯に威嚇した。

そこにトトが現れて、
彼女と共に犬を助ける事になった彼。

治療の甲斐あり、犬は元気になり、
学園の中庭で飼われる事に。
元気になる前に外に出して、
また怪我をしないように。

そうして「カー」「バラバラ」
しか話せないアヌビスのためにと、
彼女と神様たちが
犬の名前をアヌビスも呼べるようにと、
「カー」と名づけてくれた。
そうしてアヌビスとカーのお世話始まった。

ずっと登校しなかった彼も、
カーのお世話にために、
登校するように。

そうして共に世話をする彼女とも、
次第に打ち解けるようになったある日、
カーと彼女と三人で遊んでいて転んだ彼に、
彼女が手を差し出すから、
「ありがとう」と言ったアヌビスの言葉が、
初めて彼女に言葉として伝わったのです。

そう、彼は人と同じ言葉を話す事は出来ない。
けれど、彼と理解し合う事が出来た者は、
彼の言葉を理解出来るようになるのです。

そうして怪我が完治して
カーを野生に戻そうとしたものの、
アヌビスとすっかり仲良しになったカーは、
そのまま学園に残る事に。

けれど、ある日そんなカーが居なくなり、
二人で探した所、出会いの森見つかったカーは
変わり果てた姿に。

おそらくそれははじめから持っていた病。
犬は死期を悟り、
飼い主にその姿を見せないというように、
カーもまた学園を離れ、一人死んでいった。

そんな突然のカーとのお別れに
耐えられないアヌビスは、
声を張り上げて彼女に当たり散らした。

だって、助けようって彼女が言ったから。
本当は病気で辛かったかもしれないのに、
勝手に助けたいと言い出して、
無理に頑張らせて。
そうして結局死なせてしまったんだから。

そんな彼に、
彼女はそれでも助けた事は後悔してないし、
カーに出会えて良かったという。

また神様たちも、葬儀をしてくれて、
それぞれカーに感謝の言葉を述べた。
会えて良かった、
君が居てくれた時間は楽しかった。
素敵な時間をありがとう…と。

カーは死んでしまったけれど、
過ごした時間は短ったけれど、
ここで生きて、みんなに愛されていた。
死んでしまった今も、
こうしてみんなの心に残る程に。

その事に気づいた彼は、
彼女の助けようという言葉が
間違っていなかったと、
そのお陰で、
自分もカーとの素敵な時間を過ごせたんだと、
気づく事が出来た。
やっぱり違う。
彼女はアヌビスの知っている人間とは
全然違う。


そう思った彼は、彼女と共に教室に行き、
以来、みんなと共に授業を受けるように。

お昼には神様みんなが机をくっつけて、
様々な情報交換をして、
アヌビスに知識を分けてくれる。
そんな風に、
箱庭に呼ばれたみんなが協力して、
卒業を目指す日々。

そんな時、彼はトトに教えてもらった。
森の奥にある果実の事を。

その実を見つけて大切な人に食べさせると、
二人はずっと一緒にいられるんだとか。

彼女が好きだったから。
だから一緒にいたいと願った。
そうして彼はその実を探す事に。

そして更に、彼女が好きだから、
大切だから、愛する彼女と同じ言葉で、
この気持を伝えるためと、
夜遅くまでトトと言葉の勉強をした。

そんな彼が
森に実を探しに出た所を見かけた彼女は、
気になって後を追いかける。
そうして彼が実を手にする直前に、
思わず応援の言葉を掛けてしまい、
二人で実を発見。
その実を彼女に食べてほしいという彼と、
二人が一緒にいられる実ならば、
二人で食べようと、
共に真っ赤のその実をかじると、
突如実が黄金に輝いた。

それはまるで
エデンの園の禁断の果実のように。
そうして黄金の実をかじった彼に、
愛してる」と、だから一緒に居てほしいと、
自分と同じ言葉で伝えられた彼女は、
自分も同じ気持だと告げた。

そうして互いの思いを交わした時、
アヌビスの枷がハズレ、神の姿に。

その後、彼と共に飛んで学園に戻った二人。
ところが、最初はアヌビスに
手を引かれて飛んでいた彼女だったが、
気づいたら自力で空を飛んでいた。

その実は人を神にする禁断の果実。
アヌビスの願いを叶えるために、
トトが特別に教えてくれたもの。

そうして神となった彼女は、
これから先もずっとずっと、
愛するアヌビスの傍で、
共に支えあいながら生きて行ける事に。