2017年2月26日日曜日

ROOT∞REXX/桐生帝

木村良平さん演じる桐生帝の感想です。


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初めて会った時からずっと、
おまえだけが好きだったんだ。

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まだ彼が小学生だった頃、
駿と玲と三人で音楽教室に通っていた。
そこで彼は一人の女の子と出会った。

彼女はいつも楽しげに音楽を奏で、
そして曲に合わせて歌っていた。
即興で作られるそれは、
めちゃくちゃな音なのにもかかわらず、
教室のみんなは、その楽しげな様子に心惹かれ、
彼女と一緒に歌っていた。

その輪の中に入る事はできなかったものの、
彼女のその楽しげな様子は、
彼に音楽の楽しさを教えてくれた。

それはまだ幼かった頃の
彼女と彼との出会い。

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REXXが無期限活動停止になる少し前に、
彼は母を亡くした。
入院と手術と出費がかさみ、
彼の父は一家の大黒柱として、
一人でその苦労を抱え込んで、
母の死により、心が折れてしまった。

そんな父に、
彼も彼の弟妹も、
強い父を求めてしまったからだろうか?
彼の父は、彼らを捨てて家を出てしまった。

そうして残された彼らは、
医者をしている叔父さんの家に
引き取られる事になったものの、
いつか父が帰ってくるハズだと信じ、
未成年のみで暮らすように。

幸い叔父は近くに住んでいた事から、
時折彼らの様子を見に来る後見人となってくれた。

弟も妹もまだ幼い。
自分が父の分も頑張らないと。

父親譲りのその性格から、
彼は父と同じように一人で背負い込んでしまった。

REXXの活動停止後、
彼は弟たちの為にバイトを増やし、
大学受験も諦めて
公務員試験を受ける事まで考えていた。

本当は音楽を続けたい。
だってドラムが好きだから、
音楽が楽しいから。

本当は大学にも進学したい。
だって、まだまだ学びたい事はあるし、
彼は成績優秀だったから。

それでも可愛い弟と妹のためなら
なんだって出来るからと、
自分の大事なものを一つずつ諦めていった。

きっと最初はそれで平気で居られても、
いつかどこかで思うハズなのに。
どうして俺だけがこんな目に…と。

けれど、彼女が転校してきたから。
REXXを復活させるとひたむきに努力したから。

だからロック部が出来て、
再び彼はドラムを叩けるように。

それでもどこかで思っていた。
ずっとは続けられない。
弟たちのために、堅実な道を行かなければと。

そんな彼を救ったのが彼女で、
そしてREXXの仲間だった。

そうして彼が再び音楽と正面から向き合った時、
弟も妹も喜んでくれた。
だって、二人は兄のドラムが大好きだったから。
自分たちのせいで
兄が音楽を諦める事が辛かったから。

REXXとして活動を再開するにあたり、
対バンでMADLipsと対決する事になった時、
圧倒的にライブ経験の足りない彼らのためと、
敵であるMADLipsが前座をやらせてくれる事に。

無事に前座を勤め上げ、
彼らのライブの感触も上々だったその時、
客席には蒸発してしまった父が見に来ていた。

文化祭でロック部が演奏した時、
朝霧の指示で、その演奏をネット配信し、
その後、REXXの再始動となったのだが、
その配信した映像を彼の父が見ていた。
そうして彼女がそうだったように、
彼の父もまた、REXXの演奏に支えられた。

ただ逃げていた父。
その生活の中で、息子がドラムを諦めた事を知り、
父なりに心を痛めていた。
体も壊し、思うように働けない毎日。
子供の事も気がかりなのに、
戻る事も出来ない時間の中、
息子が再び楽しそうに演奏する姿は、
父に大きな力を与えた。

そうして彼の父を探していた朝霧も、
父の居場所を突き止め連絡をとった事から、
MADLipsのライブを見る事が出来た彼の父。

その後、すぐに家族の元に
戻る事はできなかったものの、
必ず子供の元に戻るという決意を固めた。

そうして彼は無事にMADLipsとの対バンで勝利し、
高校も卒業。
諦めていた難関の志望校にも見事合格した頃、
父とは電話でやり取り出来るように。

REXXから力をもらった彼の父は、
体調も戻り、以前の会社で働けるように。
そして、数ヶ月後、
家族の元に帰る事に。

彼の父が帰って来る日、
お祝いをするため、
手伝いにきていた彼女は、
その日彼から指輪を渡されプロポーズ。

彼の父も戻るし、
あまりお邪魔しないほうが、
家族水入らずを邪魔してしまう。

そんな事を考えていた彼女の心を読んだかのように、
彼は彼女に家族になって欲しいと頼んだのです。

だって、ここまで来られたのは、
彼女が居てくれたから。
遠い昔、音楽の楽しさを教えてくれたあの日から、
彼にとっての特別はずっと彼女一人だった。

そんな彼女が、
REXXを心から愛し、彼らが再始動する力をくれた。
父の事もわだかまりなく受け入れられたのも、
彼女が彼を変えてくれたから。

頼ったっていい、甘えたっていい。
仲間や大切な人とは、
支え合っていけばいいのだと。

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お前がいない生活なんて考えられない。
だからこれから先もずっと、
俺の隣に居て欲しい。
恋人ではなく、家族として。