2017年3月5日日曜日

下天の華 with 夢灯り/織田信長

松風雅也さん演じる織田信長のネタバレ感想です。


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これからは、余の隣で新たな世を生きよ。
余の半身は、未来永劫、お前だけだ。


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第六天魔王信長。
誰もが恐れる彼には、
ともに夢を目指す沢山の家臣がいたし、
彼らに慕われてもいた。

けれど、壮大なその夢を、
彼に寄り添い、共に目指してくれるような、
そんな相手には出会えずにいた。

でも、いつか出会えるだろうと、
その相手をどこかで探していたのだろう。
彼は高価な茶器を用意して、
その出会いを待っていたのだから。

高価なその茶器の内に描かれているのは、
寄り添い飛ぶ二羽の鳳。
その鳳のように、寄り添いあい、
共に歩めるように…と。

そんな時、彼女は光秀の命により、
明智の姫として彼と出会った。
もともと忍びである彼女は、
普通の姫とは違い、変わり者の姫だった。
それが彼の興味を引いた。
面白いおなごだと。

そうして共に過ごすうちに、
彼女が自分に好意を抱いている事にも気づき、
彼もまた彼女を愛おしく思っていたのに。
ある日気づいてしまった。
光秀が雇い入れた忍びが彼女である事に。

それは蛍見の宴で、
謀反を企む信行をあぶり出すための計略。
その作戦の肝は彼女だった。

忍びのくせに、心根のまっすぐな彼女は、
すぐその感情が顔にでる。
だから光秀も本当の事を話せなかったし、
彼女の正体に気づいた彼もまた、
話す事はできなかった。

けれど、一つだけ伝えたかった。
自分の命を奪う事を躊躇っている彼女に。
顔が青ざめる程、思い悩んでいる彼女に。

そうして琵琶湖に連れ出して、

余の命はお前にくれてやる。
余を信じて、全力でかかって来い。


そう告げた彼。

血に見えるように、墨を仕込んで、
信行をはめる計画のすべてを、
彼女に話す訳には行かないけれど、
大丈夫だと、信じて欲しいと伝えたくて。

その甲斐あってか、
無事に信行を捕らえる事に
成功した彼女は、
光秀の元はお役ごめんとなり、
今度の雇い主は彼に。

それだけでも、動揺している彼女を、
今度は妻として娶りたいと言い出した彼。

自分は忍び。
どんなに彼に恋い焦がれようとも、
天下人の妻になどなれる訳がない。


そう思う彼女は、
どうしても首を立てに振れずに
悩んでしまう。
そんな彼女に、彼は猶予をくれた。

これから上洛するから、
余が安土に戻るまで時間をやろう
…と。

それでも悩んでいる彼女に、
光秀が教えてくれた。
彼女が忍びだと知った時、
彼は大層嬉しそうだったと。

その言葉に勇気を貰い、
自分の気持に正直に
彼の元に行こうと決めた矢先、
信行が何者かの手引で
牢を抜け出したとの報告が。

狙いは間違いなく彼。
急いで助けないと!
…と鳥に変じて本能寺へ。

信行軍は2000なのに対し、
信長軍は100程度。
彼女が危険を知らせてくれたものの、
本能寺には火を放たれて、
光秀軍の到着までにはまだ時間がかかる。

だから彼は諦めてしまった。
もとより人の命の儚さを、
誰より強く感じていた彼だから。
ここで天下への道が潰えた…と、
そう思ってしまった。

そうして彼女と蘭丸だけは逃がそうと、
二人を説得した彼は、
一人中で弟を迎え撃つつもりだった。

なのに、蘭丸が気を利かせて先に出ると、
彼女は彼に告げた。

私はあなたの半身。
あなた一人を残しては行けない。
信長様だけを地獄の旅路へと
送り出せない
…と。

そうして彼女は長老の話を
思い出していた。

誰かとの強い心の繋がりがあり、
その人のためと強く願えるのなら、
私利私欲のためでないのなら、
一度だけ、見た事のないものに
変じる事が出来る。


そう教えられた言葉を。

だから願った。
愛する人を炎の中から
救い出せる大きな鳥、
そう鳳に変じる事を。

彼女の彼への想い、
彼の彼女への想い、
互いが互いを想う強い想いが、
彼女を鳳に変え、
彼を炎の中から救い出した。

その後、彼女は忍びの里へ。
彼のはからいで、
彼女を妻にと貰い受ける事で、
伊賀の里と和睦を結ぶ事に。

無事に彼の元に戻って来た彼女は、
明智の姫として、彼の正室に。
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共に夢を追い続けよう。
戦乱の先の泰平の面白き世を目指して、
二羽の鳳のように。


余の夢路には、お前が必ず、
寄り添っていなければならないのだから。