2017年4月20日木曜日

プリンス・オブ・ストライド/支倉ヒース

小野大輔さん演じる
支倉ヒースのネタバレ感想です。


-----☆★☆-----


ストライドを続ける。
冬も春も、オレは走り続ける。

だからおまえは、
ずっとオレのリレーショナーでいろ。

リレーショナーじゃなくても、
方南じゃなくても、
おまえはオレの走りが
見えるくらい近くにいろ。
これから先もずっとずっと。


-----

恭介、巴、オレ。
3人で走ってた。
方南は強くて、
オレたちはゴールデントリオなんて呼ばれてた。

オレたちは速くて、強くて。
オレたちが走れば
負けるはずはないって思ってたし、
実際負けなしだった。

けど、ある時気付いちまったんだ。

恭介と巴は天才で、オレは凡人。
どんなに努力した所で、
天才のあいつらみたいには走れねえ
…って。

以来辛かった。
あいつらと並べられ、
ゴールデントリオなんて呼ばれんのが。

そんなオレの弱さが、
KGBの時に部を去った恭介を止められず、
留学する巴を止められなかった。

だってさ、
オレみたいな凡人と走るより、
留学してもっと速いやつらと走った方が
いいに決まってるから。

門脇が怪我で走れなくなった時、
あいつは恭介を
呼び戻すなんて言い出したけど、
オレは頭を下げる事すら出来なかったんだ。

あの怪我がなければ、
恭介が部を去る必要はなかったから。
恭介が部を去った原因は、
全部オレだと思ってたから。

それでも真っ直ぐなあいつは、
本当に恭介を呼び戻しちまうんだから。

そうしてまた走れるようになった。

元々、一年が入るまでは、
将棋部と兼部で
かろうじて3人で部を繋いでたオレたち。

なのにあいつが、あいつら一年が、
方南スト部に新しい風を連れて来た。
そうして新生方南スト部は、
ついにEOSの決勝戦までやってきたんだ。

兼部状態で将棋さしたりしながら、
終わるはずだったオレの高校ストライド。
それが今は
こんな所まで来ちまうんだから。

そうして迎えた決勝。
相手は巴の居る花京院。
アンカーに選ばれたオレは、
巴との直接対決を制した。

同じチームではないけれど、
共に走る事で、
巴とも分かり合う事が出来たんだ。

KGBのキッカケになった
あの日の怪我から、
くせになっちまった肉離れも、
あいつの巻いてくれたテーピングで、
なんとかゴールまで
がむしゃらに走る事が出来たんだ。

あいつ、あの時無茶苦茶言ったよな。
ぶっ放せ!なんて言っといて、
諦めるな、頑張れって言っといて、
脚も守ってだなんてさ。

そうして限界を越える走りの先に、
巴と再び分かり合える瞬間と、
方南スト部の優勝を手にした。
いや、それだけじゃない。
ずっと好きだった
あいつの事も手に入れた。

ゴールした先に待っていた
あいつに駆け寄り、
ずっと伝えたかった気持ちを
やっと言葉に出来たんだ。
おまえが好きだ」って。

決勝が終わったら、ちゃんと治すって、
ストライドも続けるって、
そう交わしたあいつとの約束を守り、
現在は入院してリハビリに励んでいる。

夏休みの宿題も未だ手付かずなのに、
さらに入院で暇だろうからなんて、
エグい量の課題も届いたりしてるけど、
ストライドを続けるために、
リハビリに専念して、全く進んじゃいない。

今は少しでも早く治したいから。
退院したら、また部に戻って走るんだ。
あいつのリレーションで。

-----

冬が来ても、春が来ても、
方南を卒業しても。

オレはずっと走り続けるから。
だから、ずっとそばにいろよ?
オレの走りの見えるこの距離に。