2017年4月22日土曜日

プリンス・オブ・ストライド/小日向穂積

小野賢章さん演じる
小日向穂積のネタバレ感想です。


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幸せは半分くらいで
いいって思ってたんだ。
でもね、本当はもう半分も欲しかった。
ただ、やせ我慢してただけなんだ。

だからね、
足りないもう半分を埋めようと、
必死になった事もあったよ。

けど、気づいたんだ。
もう半分を埋める必要なんてないって。
僕が君を大好きなように、
君も僕を大好きで居てくれたから。
そう、君が気づかせてくれたんだよ。


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僕の父親はね、とても欲深い人で、
彼のせいで不幸になった人が沢山居るんだ。
だから、思ってた。
ちょっとの幸せでいいって。
父親みたいに誰かを不幸にしてまで、
幸せになりたくないって。

本当の母さんは、
僕が小さい頃に出て行ってしまった。
だから、よく顔も覚えてなくて。
でも、あんな父さんだから、
仕方ないって思うんだ。

その後、父さんと再婚したのが今の母さん。
だから母さんとも弟たちとも、
血は繋がってないんだ。

でも、その母さんとも
上手くいかなくて、結局離婚。
そうして母さんが出て行くってなった時、
僕は父さんじゃなく、母さんを選んだ。
僕の事なんか、家族の事なんかどうでもいい、
仕事が一番大事な父さんよりも、
僕に幸せをくれて、愛してくれる
母さんや弟たちと居たかったから。

でも、じいやが教えてくれた。

父さんは本当は家族思いで、
僕が初めて履いた靴を
今でも大事にしてるような人で。
今の母さんとの離婚も、
父さんの会社の経営が上手くいかなくなり、
社長を下りる事になって、
その事で家族に迷惑がかからないようにって、
決めた事なんだって。

そんな事も知らない僕は、
父さんが会いたがってるって、
何度もじいやが訪ねてきたのに、
会いたくないってはね退けてた。

けど、君と出会い、
多分少しずつ変われたんだと思う。
変わりたいと思えたんだと思う。
だからかな?
父親と会わなきゃって
思えるようになったんだ。

なのに、僕がいつまでも
決心出来ないでいたから。


じいやが会いに来てくれた時には、
すでに父さんの具合は良くなくて。
結局、会うと決めた頃、
父親容態は悪化し、
僕が会う前に亡くなった。

ひどい人だと、
本当の事なんて知らないまま、
勝手に決め付けて勝手に嫌って。
ひどいのは、僕の方じゃないか!


それでも、じいやに頼んで
お線香をあげさせて貰って、
やっと気持ちが落ち着いたんだ。

その時に思った。
思いはちゃんと
言葉で伝えなくちゃ届かないって。
そして、その思いは
いつでも伝えられるものじゃない。
いつ伝えられなくなるか
分からないものなんだって事も。

だって、父さんは何も言わないから、
僕は何も知らないまま父さんを恨んでた。
そして、今となってはもう、
どんなにそれを悔いた所で、
謝る事すら出来ない。

だから僕は、君に大事だって
伝えられるようになったんだ。
君が教えてくれたから。
僕が幸せになるのは悪い事じゃない、
僕が幸せだと、家族も君も、
部のみんなも喜んでくれるって。

お陰で、僕は変われたんだ。
欲しいものはこの手で掴み取る!
そんな気持ちでストライドにも向き合えた。

僕がアンカーを務めたEOSは無事優勝。
三年生に優勝をプレゼント出来たし、
一年生たちの
遠い昔の約束も叶えてあげられた。
何より僕自身が望んで居たんだ。
EOS優勝を。

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全部君が居てくれたから。

だからこれからも、
ずっとずっと側に居てよ。
誰より君の事が大好きなんだから。