2017年4月19日水曜日

プリンス・オブ・ストライド/八神陸

木村良平さん演じる
八神陸のネタバレ感想です。


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アニキと走るのが楽しかったんだ。
いつか勝てるだろうって、
必死に追いかけるのが。

なのにいつからだろう?
おれは諦めてしまったから。
だから言い訳したんだ。

あれは巴がおかしいんだって。
雨だろうと嵐だろうと
外を走ってるなんておかしい。
そんなヤツに敵う訳ないって、
理由をつけて。

そうして一度捨てたストライド。
だからまた理由が必要だったんだ。

きみの為に走る!
…っていう、
ストライドに戻る為の理由が。



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そんな理由とともに
再び始めたストライド。
安請け合いした助っ人が
スト部だと知った時は、
正直「しまった」と思ったけど。

けど久しぶりに走ってみたら楽しかった。

それでもまだ理由は必要だったんだ。
だっておれは一度ストライドから、
アニキから逃げているから。
だから「きみのため」って
理由が必要だった。

そうしていつも
おれ、きみのために走るよ」って、
くちぐせみたいに言ってたのに。
いつからかあまりそれを
口にしなくなっていた事に気づいた時、
色々と悩み始めたんだ。

きみにかっこわるいところばかり
見せているって言うおれに、
そんな事ないよ。
悩むのは前に進もうとしてるから

そう教えてくれた君。

悩んでも立止まらない。
悩みながら苦しくても進み続けたその先に、
やっと見つけた答え。

きみのために走る。

それは今も思ってる。
だってきみが笑ってくれると嬉しいから。
だけどみんなでEOSで優勝するって、
誓った夢のためでもあって。

だから結局はおれ自身のためだったんだ。

だって今ストライドが堪らなく楽しいから。
方南スト部のみんなとともに駆ける夏が、
堪らなく愛おしいから。

そうして先輩の怪我や
様々な困難を乗り越え、
やっと辿り着いたEOS決勝。
相手は一度惨敗した花京院。
巴のいる学校だ。

巴との事を考えると、
どうしてもモヤモヤするものが残るから、
だからおれはアンカーで
走る事を志願したんだ。
巴と一緒に走る事で
見えるなにかがあるはずだから。

迎えた決勝戦。
圧倒的な強さの花京院が相手だったけど、
みんな必死に食らいついてくれて、
藤原なんてあの維田を抑えて
おれに繋いでくれた。

だからおれは負けられなかった。

チームのみんなの想い。
再会してもう一度約交わした
藤原と彼女との約束。
西星を始めとした、
今まで戦ったみんなの想い。

沢山のものを背負って走る。
それらすべてを次に繋いで行くために。

そうして走る中、アニキと心が繋がって、
アニキに押し付けたままの傷を、
今度はおれが受け取って走った。
それはおれ自身のものだから。
いつまでも巴に預けたままじゃ居られない。

そんなもの陸に背負わせられない
アニキはそう言うけれど。

でも、大丈夫。
だっておれはもうひとりじゃないから。
一緒に背負ってくれる、
一緒に悩んでくれる、
話を聞いてくれる
笑顔の可愛い大切な人が出来たから。

彼女がいるから、もう心配はいらない。
アニキからもストライドからも逃げた、
あの頃のおれとは違うから。

アニキにあの日、
押し付けたものを受け取り走る。
ゴールには彼女が待っているから。
おれの一番大切な、大好きな彼女が。

そうしておれへと駆けより
伸ばしたその手を捕まえて、
大好きな彼女にキスをした。
あいしてる」と囁きながら。