2017年5月31日水曜日

月影の鎖-錯乱パラノイア-

父をとても愛していた母。
彼女は父を愛するが故に、
彼を亡くした時、
心が壊れてしまった。
娘を娘と認識出来ない程に。

けれど、幼かった彼女に、
それはとても理解出来ない。
だからどうしても母に
自分を見て欲しいと、
ありとあらゆる事をしてみるものの、
母の感心が自分に向く事がないまま、
母はこの世から居なくなってしまった。

そうして母の友人である
螢に養女として迎えられた。

愛を知らなかった、
居場所のなかった彼女に、
愛をくれ、
居場所をくれた螢と兄。
だから二人の役に立ちたくて、
螢が亡くなった後、
彼女は「月の畔」の女将となり、
一人店を守る事に。

そんな彼女の街は
本土から離れた島にあり、
閉鎖的なそこは、
温泉街と花柳街からなる観光地。
けれど昨今観光客は減り、
数年前の大震災も加わり、
市の財政は
とても厳しいものとなっていた。

そんな財政難を乗り切るため、
市長が雇ったコントルタント。
彼がこの街に
騒動を持ち込んだのだ。
財政難を乗り切るために
この島を駐屯地にするべきだ…と。

一見彼女の暮らしとは
なんの関係もないその事件が、
彼女の平和な日々を
大きくかき乱すものとなって…。


攻略キャラ
・神楽坂響(cv.新垣樽助さん)
・望月理也(cv.松岡禎丞さん)
・猪口渉(cv.浅沼晋太郎さん)
・榛名望(cv.成瀬誠さん)
・大井川護(cv.三浦祥朗さん)

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榛名望
望月理也
猪口渉

※攻略した順番に記載させて頂いております。
 ☆はお気に入りキャラです。



-----☆★☆-----



凄く面白い作品でした。
明るく楽しく…という
お話ではありませんし、
全体的に暗い感じの所はありますが、
個人的には凄い好きな世界観でしたね。

色使いも作品の雰囲気にあっていて、
とても良かったです。

内容的に、割りと
大人のゲームとかにありそうな感じかな?と。
なので、学生さんとかよりも、
大人の方にオススメしたい感じの
作品かな?と思います。

文章がとても素敵で、
シナリオ重視の方にも
オススメ出来る作品ですね。

私が攻略させて頂いた中では、
榛名さんがスチルも良かったですし、
なんか色々ドラマチックで素敵でした!

立絵では会えない、
メガネなし髪下ろしバージョンの
イケメン榛名さんとか、
もう本当に素敵でした!

スチルの数もそれなりに
満足な数だったと思います。

ただ、背景の種類が
少なかったように感じたのは、
もったいなかったかな?と。
他がいいので、そこが逆に
気になってしまった所でした。

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好きキャラ
1.榛名さん
2.猪口さん
3.望月さん

榛名さんが圧倒的に大好きなので、
猪口さんと望月さんは
甲乙つけがたい感じでした。
成瀬さんの声と話し方が、大変ツボで、
また色々な作品で
お会いしたいなと心から思いました。


オススメ度:★★★★
個人的満足度:★★★★

2017年5月30日火曜日

逢魔時~怪談ロマンス~

磯姫の妖怪である主人公は、
高校二年生。

高過ぎる妖力を持て余し、
時折それを発散しないと
暴走してしまう為、
喧嘩に明け暮れる日々。

そんな喧嘩好きで
いたずら好きの彼女と、
それを取り巻く学校の
仲間たちとの物語。

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攻略キャラ
・式部密(cv.緑川光さん)
・日比谷京極(cv.遊佐浩二さん)
・和泉零次(cv.鳥海浩輔さん)
・遠野篤郎(cv.諏訪部順一さん)
・由良城閨悟(cv.浪川大輔さん)

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・由良城閨悟(ネタバレなし)

※攻略させて頂いた順番に記載させて頂いてます。
 ☆はお気に入りキャラです。


-----☆★☆-----


ロゼさんの作品という事で、
スチルが多く、
プレイしていて楽しかったです。
そして大人な展開も、
やぱりロゼさんならではで
素敵でした。

主人公が恋愛に
冷めているタイプというか、
ロゼさん、こういう子使うの
凄い上手なんですよね。
今回もそんな感じで、
付き合うキッカケも
好きだから…ではなかったり(笑)
体を重ねても、
二人の温度差は変わらない
…なんて描写があったりと、
なかなか大人な思考の
恋愛で楽しかったです。

本当にロゼさんの作品、
今後新作がないんだと思うと、
寂しくなりますね。
楽しかったです。


オススメ度:★★★☆☆
個人的満足度:★★★☆☆

2017年5月29日月曜日

DYNAMIC CHORD feat.Liar-S V edition/珠洲乃千哉

岡本信彦さん演じる
珠洲乃千哉のネタバレ感想です。


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焦らずゆっくり、これからも
あなたに想いを伝え続けます。

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S-leeperを結成した芹の後輩の千哉。
彼は先輩である芹に
高校の文化祭だけでいいから
…と頼まれてギターとして参加。

元々音楽は好きだったが、
誰かと一緒にバンド活動をしようなんて
全く考えて居なかった彼。

そうして半ば無理やり巻き込まれ、
経験したバンド活動。
それなりに楽しかったけれど、
それだけだったハズなのに。

その後もS-leeperを続けたいという芹は、
朔良というギター・ボーカルを連れて来た。
そうして朔良の歌声を聴いた瞬間、
彼の中の意識が変わった。

それは彼に襲撃を与えるに
十分な歌声だったから。

歌唱力はもちろんの事、
朔良の持つ歌声は、
彼の理想の声だったから。
その声に魅了され、
こんな歌を作りたい、あんな歌を歌わせたい
…そんな気持ちが湧き出したのだ。

そうして元々コピーバンドだった彼らが、
オリジナルバンドとして活動を開始し、
彼は朔良に次々と曲を作った。

それなりに人気も出て、
彼の曲も評価されていたアマチュア時代。
いつかこのメンバーでメジャーデビューを
…なんて思っていたのに。
ベースの槇の脱退により、
一時は彼も朔良も荒れてしまった。

だって、手応えを感じていたから。
このメンバーならやれるって。

そんな時、芹が新しいベースを見付けて来た事で、
S-leeperは再び動き出した。

新しいベースの宗太郎は、
人懐っこい性格で、
最初こそ、彼も朔良も反発していたが、
いつしか気の合う仲間になれた。

そうしてついに彼らは
念願のデビューを果たしたのだ。
S-leeperからLiar-Sと名前を変えて。
デビュー曲はドラマとタイアップという事もあり、
瞬く間に売れ、
彼も朔良もそのビジュアルが注目された事で、
一躍人気バンドに。

順風満帆だった。
この調子でどんどんLiar-Sの曲を
朔良の歌を世間に届けて行くんだ!
そんな風に思っていたのに。

気づくと世間は彼らのビジュアルと
デビュー曲ばかりを騒ぎ立てる。
音楽番組に出たとしても、
求められるのはデビュー曲とビジュアルのみ。

まだ色んな曲があって、
どれもみんなに聞いて欲しい曲なのに。

そんな思いが胸の奥に降り積もる。

そうして同じ思いを抱えた朔良の歌声から、
S-leeper時代の情熱が消えた。

朔良の歌が、声が好きだったから。
本当に大好きだったから。
彼の声を歌を活かしたいと作った曲を
そんな風に歌う朔良に耐えられなかった。

そうして彼のギターからも、
当時の熱は消えてしまった。

チグハグなどこか噛み合わない演奏。
それでもファンは気づかない。
Liar-Sが好きだと、カッコいいと
彼らをもてはやしてくれる。

何がファンだよ。
僕達の演奏が昔と違う事も
全く気づいてないくせに。

すっかりやる気も情熱も失った
彼と朔良。

そんな時、芹が提案してきたのだ。
S-leeper時代、音楽の知識もゼロで、
初めてロックに触れたという彼女を
Liar-S公認の『友達』にすると。

当時は彼女の言葉に
心動かされたりもした。
たどたどしい感想ながらも、
心のそこから彼らの音楽を愛し、
彼が歌に込めたものを
朔良が歌声に込めたものを
彼らが演奏に込めたものを
しっかりと感じ取ってくれているのが
わかったから。

でも今はもう違う。
あの頃の自分たちではないし、
もうきっと戻れない。

だから彼女を拒絶した。
当時の自分たちを知っていて、
熱くその思いを語ってくれた人だから。

それでも彼女はめげなかった。
何度も何度もぶつかって来た。
そうして素人ながらも、
彼の話に耳を傾け、
少なくとも自分はLiar-Sの新曲を
聞きたいと思っていると、
今も熱い思いを注いでくれていた。

そんな彼女に感化され、
彼はMERIに頼まれた楽曲作成を
引き受ける事に。
事務所からも、作曲家として売れる事は
好ましいと言われたから。

それに何より夢だったから。
自分の音楽を沢山の人に届ける事が、
沢山の人に歌って貰う事が。

けれど、今の彼は、
自分のバンドのヴォーカルにすら、
その歌を歌って貰えない。

だから正直不安も大きかった。
そんな自分には重すぎるのではないかと。

そんな不安を抱えて挑んだ楽曲づくり、
所が彼が作る曲は、
すべて朔良に歌わせたいものばかりで、
何度作り直しても、
どうしても朔良の声に
あったものしか出て来ない。

大好きで、尊敬していて、
だからこそ裏切られたようで
大嫌いになった朔良なのに。

こうやって僕はいつまでも
朔良の呪縛から逃れられないんだ。

そんな思いに苦しんでいた頃、
彼女が教えてくれた。
どうしたら今の楽曲が、
Liar-Sらしい曲じゃなく、
MERIらしい曲になるのかを。

もっとキラキラした感じが
あるといいのかも?
そして女の子の恋を応援するような。

そんな彼女の言葉をヒントに、
彼は無事にMERIの曲を完成させた。

そうしてさらには、
何度も何度も囚われていた朔良の為の、
Liar-Sの為の 楽曲も作っていた彼。

だって、僕は朔良に歌って欲しいから。
そう、あの頃のように。

今まで彼女が再三説得を試みるも、
いい返事が貰えなかったけれど、
彼が思いを込めて作った曲が
朔良の心を動かした。

もう一度やってみる。

彼の作った曲が、
Liar-Sを再び動かしたのだ。

その後、サマーフェスへの参加が決まり、
Liar-Sはそこでデビュー曲だけでなく、
今回彼が作った新曲を披露する事に。

あの頃の情熱を思い出した彼らに、
もう怖いものはなかった。
フェスで歌ったデビュー曲も、
いつものそれよりもずっと熱がこもり、
それは観客にも伝わった。

けれど、「どうせデビュー曲だけの
顔だけのバンドだろ?
そんな声も観客の間から聞こえてきた。

所が、彼が思いを込めて作り、
朔良が思いを乗せて歌い、
メンバー全員が熱い思いで奏でた曲は、
すぐさま会場を虜にしてしまった。

やっと聴いて貰えた。
自分たちの音楽を。
届けたい思いが、今届いた。

メンバー達は喜びを噛み締めた。
これが新しいスタート。
もうLiar-Sは動き出した。

そうして彼女はLiar-Sの『友達』から、
彼の恋人となり、
今は彼だけを支える存在となった。

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淋しい想いはさせません。
あなたを笑顔でいっぱいにします。
だからこれからも僕の傍に居て下さい。 
決して離れず、ずっとずっと…。

2017年5月28日日曜日

剣が君 for V

徳川家光の弟、徳川忠長は、
家光に自刃へと追い詰められた。
そうして領地駿府は藩がなくなり、
新な領主が駿府入り。
その新しい領主の姫として
選ばれたのが家光の妹の久姫。

久姫の花嫁行列が江戸より駿府へと
向かうことになったが、
忠長を慕う者達にとって徳川は敵。
危険な旅になる事は
火を見るより明らか。

そこでその花嫁行列に
ニセの花嫁を使う事になった。

当然、関所などで
足止めされては困る為、
久姫にそっくりな
年頃の娘を探すのだが、
広い江戸の中で、
そう簡単に見つかる訳がない。

諦めかけていた時、
休憩にと立ち寄った
茶屋の娘である主人公が、
久姫にそっくりであった事から、
彼女に白羽の矢が立てられた。

そうして久姫の振りをし、
東海道を駿府へと
向かう事になった彼女。
周りを守るのは
柳生に腕を認められた6人の侍。


彼らに助けられながら、
花嫁行列として
駿府へと向かう旅の前章と、
個別シナリオの後章の
二つから構成されている作品。

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攻略キャラ
 ・九十九丸(cv.小野友樹さん)
 ・螢(cv.KENNさん) 
 ・黒羽実彰(cv.前野智昭さん)
 ・縁(cv.置鮎龍太郎さん)
 ・鷺原左京(cv.保志総一朗さん)
 ・鈴懸(cv.逢坂良太さん)


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鈴懸

鷺原左京
九十九丸

※攻略した順番に記載させて頂いてます。
 ☆はお気に入りキャラ。




-----☆★☆-----


共通である花嫁道中と、
その後のお話と
大きく二つで構成されているので、
長さは割りと長め。

花嫁道中は要所要所の選択で、
自分の攻略したいキャラを選ぶ事から、
大きな変化もないため、
周回プレイはややだれて来る感じも。

後編の個別ルートは、
それぞれ同じ大会は絡んでくるものの、
内容が全く異なる為、
飽きずに楽しめます。

絵も音楽も素晴らしく、
世界観にあっていて素敵でした。
花嫁道中などは、
途中地図なんかも表示される為、
本当に旅をしている気分を味わえました。

ENDの種類も充実しているので、
フルコンプ目指す方も、
長く楽しめると思います。

声優さんも役にあっていて、
凄く良かったです!
なので全員できそうかな?と思いましたが、
やっぱり花嫁道中が同じ流れなので、
4人で力尽きました。


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好きキャラ
 1.螢さん
 1.鈴懸
 3.九十九丸
 4.左京さん

螢さんと鈴懸は本当に素敵過ぎて、
どっちが一番って選べなくなってしまいました。
そんな素敵な二人に出会わせてくれた
この作品に感謝の気持ちでいっぱいです。


オススメ度:★★★★
個人的満足度:★★★★

2017年5月27日土曜日

剣が君/九十九丸/幸魂:共に生きる幸せ

小野友樹さん演じる
九十九丸のネタバレ感想です。



-----☆★☆-----


九十九丸は陸奥の国出身の侍で、
旅籠の息子。
田宮流居合の伝書をもらう為の条件が、
剣取りをする事だった事から、
江戸に単身やって来た。

彼の実の両親は災害に巻き込まれ
既に他界している。
その時、彼も巻き込まれたが、
それ以前の記憶を失ったものの、
彼一人が無事に助けられ、
今は旅籠を営む夫婦が育ての親として、
彼の面倒を見てくれていた。

花嫁行列に参加したのは
路銀が尽きてしまって、
御前試合までにお金を稼ぎたかったから。

そうして花嫁行列の中で、
彼女や仲間たちと過ごす内に、
彼女との間に絆の芽生えた。

所が花嫁行列の報酬である
10両なのですが、
彼は道中とある宿場で
宿の高価な花瓶を壊してしまい、
その弁償代として、
全額取り上げられてしまった。

それでも剣取りの為
江戸に向かった彼だが、
何日も食べずに過ごし、
行き倒れ寸前の所に彼女と遭遇。
たまたまおにぎりを持っていた
彼女に助けられ無事に江戸に。

口入屋の紹介で、御前試合の間、
住み込みで働く所を探してもらうと、
なんと御前試合で忙しくなる為、
労働力を必要として、
口入屋に頼んでいた彼女の父の営む茶屋に、
使用人としてやって来たのが彼だった。

思わぬ形で再会を果たした二人は、
同じ家に住んだ事で、更に絆が深まり、
お互い大事な存在に。

そんな中、御前試合で
鈴懸と当たった時に、
彼は異様な状態を見せ、
その事で天海という僧侶に
声を掛けられた。

天海は一度死んで、
反魂呪により蘇ったという人で、
彼もそうであると教えてくれたのだ。

天海の言葉に、色々な事に納得した彼。
彼は胸に大きなキズがあるし、
左腕も変色しいつも包帯を巻いているし、
体温も以上に低いし、
食べても食べても大きくならないし…と、
本人もそれらの事が
ずっと気になっていたから。

胸の大きなキズは、
災害に巻き込まれた時のものだ
…そう村のみんなは教えてくれたが、
どう見ても刀傷だったので、
おそらくそれが原因で
一度死人になったのだろうと。

左腕の変色した皮膚は、
皮膚の病気ではなく、
おそらく死んでしまったために、
そこが腐敗したものだろうと。
体温が低いのも死人だから。

食べても食べても
災害にあったとされる15歳の頃のまま、
成長が止まっている二十歳の彼。
それも彼が蘇る為に
彼の中に居るマレビトが、
彼の成長分を吸収してしまっている為、
彼自体が成長する事が
出来無いからだろうと。

そうして彼はすべての真相を知る為、
故郷に戻る事に。
そんな彼にどうしても
ついていくと言う彼女。
初めは陸奥の国への道中は
男でも厳しいから、
お嬢さんを連れて行けない

…と頑なに拒んでいた彼だが、
彼女は父も説得し、
彼に半ば無理やりついて行った。

彼は居合の師匠の元を訪ね、
真相を知る事に。

彼の父は剣取り試合で一番刀になり、
天下五剣の一つを
授けられるような立派な侍。
所が彼の母と離縁して、
彼とふたりきりになったある日、
剣取り以来、
何かを悩んでいる風だった彼の父は、
山に修行に入ってしまった。

そこで一人になった
彼は旅籠に引き取られ、
村のみんなが大切に育ててくれた。

そんな中、彼が母のように、
姉のように慕っている女性が居たのだが、
その家が借金を返す事が出来ず、
借金取りに彼女が
連れて行かれそうになったのだ。
大好きなお姉さんのピンチに、
まだ15歳の彼は、彼女を護ろうとした。
その時、渡世人である借金取りに
胸を大きく斬られてしまった。

その傷が致命傷となり、わずか15歳で、
彼は命を落としてしまった。

その知らせを聞いた彼の父は、
痛く悲しんで、山で修行の際に、
ある人から禁術である
反魂呪を受け継いで居た事から、
その禁術を使い、
自らの命を犠牲にする事で、
愛する息子を蘇らせたのだ。

その後、記憶をなくした彼に、
両親は災害に巻き込まれてなくなり、
彼もそれに巻き込まれ
記憶がないんだ
…と教えて、
変わらず村のみんなで面倒を見てくれたのだ。

所が、彼が剣取りの為に
江戸に出ると言い出して。
彼の父が、剣取り後、
悩むことが多くなった事を
見ていた村のみんなは、
旅籠の息子に剣術など必要ない…と、
彼の剣取りに反対したものの、
彼は家出同然で江戸に出てしまった。

父の山での様子も、その後、
当時父と共に修業していた僧侶から
聞く事が出来たが、
彼を忌々しそうに見ていたその人は、
最後にふたりきりになった時に、
彼に陸奥の国から早く出て行け
…と言ったのだ。
禁術のせいでこの国寺のイメージが
悪くなったのを払拭した所なのに、
あなたがいると、また禁術の事が
噂されてしまうから
…と。

命を亡くし、両親を失くし、
彼はこうして生まれ育った故郷をも
失くしてしまったのだ。

けれど、江戸がある。
茶屋の旦那さんもお嬢さんも
家族だと自分を温かく迎えてくれている。


そう思った時に、

本来生きているハズのない
自分のような存在が、
大切なあの家族の傍に居る事は
迷惑なのではないか?


そんな風に思った彼は、
やっぱり行く当てを失くしてしまう。

そんな彼のマイナスの心に
つけ込んだマレビトは、
その体を支配し彼女をさらい、
常世に連れ去った。
自分の花嫁とする為に。

そうして意識を操られた彼は、
そのまま三途の川を渡ろうとするが、
必死で止める彼女。
彼の二十歳の姿をしたマレビトと、
未だ15歳のまま成長の止まっている本物の彼。
彼女の抵抗のお陰で
意識を取り戻した彼は、
マレビトである二十歳の自分と戦事に。

けれど二人は二人で一人。
相手に傷をつける事で、
自らが傷ついてしまう。

ボロボロになった二人を
ただ見ている事しか出来無い彼女は、
常世の景色の中で歪んだ場所を見つけた。
目を凝らすとそこに現世が見えたのだ。

だから彼女はボロボロの
彼の手を引いて
必死にそこに向かう。
体を返せと追いかけてくる
マレビトから逃げながら。
振り返ると彼の体は
黒い闇に包まれて居ました。

もうだめかもしれない。
彼を連れて帰れないかもしれない。


そう思っても諦められなかった。
だってまだ好きだって
彼に伝えて居なかったから。
彼の居ない世界なんて
考えられなかったから。

そうして彼女は
必死に彼の手離す事なく歩き続けた。

一方もう完全に諦めていた彼。
すべての感覚もなくなり、
もうこのまま本当に死んでしまうと思った時、
手が暖かい事に気付いた。

なんで暖かいんだろう?
あぁ、そうか。
お嬢さんがこんな俺の手を
必死に引いてくれているから。
彼女は諦めずにこんなにも強く
俺の手を握ってくれている。


だから諦める訳には行かない。
俺はまだ彼女に伝えて居ないから。
彼女と共に生きたい
と。

そうして彼はマレビトと再び戦った。

-----

目を開けた彼女。
見えるのは現世の景色。
しっかりと握っていたハズのその手には、
彼の手は見当たらない。

辺りを見渡してみたものの、
どこにも彼を見付けられない。

悲しくなって
泣き出してしまいたくなりましたが、

諦める訳には行かない。
絶対九十九丸を探すんだ!


そう決意して歩き出した彼女の元に、
彼の鳩のハヤトが飛んできました。
そうして、彼に主人の事を訊ねると
案内してくれた。

彼女が見つけたのは、
よく知っている彼ではなく、
二十歳のあのマレビトの姿をし彼だった。
けれど中身はちゃんとあの頃の彼のままで、
目を覚ました彼は、
しっかりとその鼓動を聞かせてくれた。
そうして以前は冷たかったハズのその体は、
抱きしめてくれるととても暖かいのだ。

そう、彼はマレビトに打ち勝ったのだ。
どうしても彼女を守る為に生きたい!
そんな彼の強い思いに、
マレビトは応えてくれたのだ。

そうして彼は、反魂呪で蘇った、
成長出来無い冷たい体の彼ではなく、
ちゃんと二十歳の大人の姿となり、
残りの生涯を全う出来る事になった。

その後、彼女の父の営む
茶屋の若旦那として、
彼女と共に幸せに暮らす事でしょう。

2017年5月26日金曜日

剣が君/鷺原左京/幸魂:初夏の太陽

保志総一朗さん演じる
鷺原左京のネタバレ感想です。


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旗本の息子として生まれた彼は、
周りにはただの浪人だと言っていたが、
その所作の美しさや、
身のこなしからも、
気品が溢れているような人。

見目麗しく、絵草紙の
お姫様みたいな外見にそぐわず、
剣の腕は一流。

そんな彼の愛刀は蛍丸。
鷺原家に代々伝わる宝刀で、
何代も前の先祖が、
この蛍丸を持って戦に臨み、
刃が欠け、戦に惨敗。

そんな折、
夢の中でその剣に蛍が群がり、
黄色く発光しているのを見た先祖は、
目覚めた後に
真っ先に蛍丸を確認してみると、
刃こぼれが直り、
見事な刀に
生まれ変わっててたんだとか。

その後、その刀で
戦果を上げた先祖の功績により、
蛍丸は宝刀として、
代々鷺原家に受け継がれて来た。

そんな鷺原家は、天国の一族で、
宝剣づくりをして居た家系。
天下五剣と言われる剣も、
その一族が作ったもの。

そんな家柄に生まれた彼だが、
まだ彼が幼かった頃、
家族が鬼に
無残に殺されてしまったのだ。

たまたま体調を崩していた彼は、
乳母たちに世話をされ、
留守番をしていたのだが、
父、母、身重の姉は、
家族で出かけていて、
その道中、まもなく家に
辿り着くという辺りで、
人さらいの鬼と遭遇。
そんな現場を見てしまった事から、
殺されてしまったのだ。

その犯人き斬鉄と言う名の鬼。
彼は仇討ちを申し出て、
斬鉄の情報を集める為、
裏の世界に身を置き
家族の仇である斬鉄を
探し続けていた。

そんな道中に参加した花嫁行列。
箱根峠で、斬鉄の配下である
シグラギと言う鬼が、
強盗を働いているという
情報を得たからだった。

狙われた時に仕留める。
目的はそれで、
ただその為に参加したハズなのに、
彼は彼女と出会った事で、遠い昔、
まだ両親も姉も健在だった
幸せな日々に感じていた
懐かしい感覚を思い出してしまった。

そうして期待どおり
箱根峠で襲ってきたシグラギ一味。
彼女を攫った
シグラギたちをを追いかけ、
無事彼女を救出し、
シグラギも討った彼。

残るは斬鉄一人。

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その後、花嫁行列が無事に終わり、
江戸へと戻った仲間たち。
そんな中、吉原で
聞きこみをしていた彼の耳に、
鬼に詳しい花魁の話が飛び込んで来た。

彼女に話を聞きに行くと、
居場所を教えてくれたのだが、
その時無理やり酒を飲まされてしまう。

そう、彼女は斬鉄が
贔屓にしている花魁で、
彼に協力する振りをし、
薬の入った酒を飲ませ、
彼を罠にハメたのだった。

当然、教えられた場所に
斬鉄はいる訳もなく、
彼は自分よりもはるかに弱い鬼に、
薬のせいでうまく体が動かない為、
斬りつけられてしまった。

岡っ引きの登場で、
無事に逃げおおせたものの、
深手であるし、薬も効いて、
思うように逃げられない。
そんな彼を助けたのが、
彼女の家の近所の矢ノ彦。

夜遅い時間に
表を走っている矢ノ彦を
見つけた彼女が声を掛けると、
彼は手が血まみれになっていて。

事情を訊いた所、
ケガをしているお侍さんにお水を届ける
…というのだ。
夜も遅いし、
子供が一人では心配だ
という事で、
付き添った彼女の目に
飛び込んできたのは、
大怪我をした彼だった。

その後、父の入浴のすきに、
こっそりと自分の部屋に彼を運び、
彼に言われるまま、針と糸、
そして焼酎と布を用意した所、
彼は自分でその深い刀傷を
縫い始めた。

助けたはいいけれど、
そんな深手の
手当の仕方も知らず、
言われるままものを用意して
手伝った彼女だったが、
どうしても医者に診せたい
心配になってしまう。
それでも彼は医者も誰も
呼ばないで欲しい
…と頼んだ。

そうして手当を終えた彼は、
着物を着替え、
そのまま倒れるように
眠ってしまった。

その後、自分で手当をした箇所が
ひどく腫れてしまった彼は、
それが原因で倒れてしまった。
心配した彼女は、彼との約束を破り、
花嫁道中の仲間の鈴懸に
助けを求めた。
そうして鈴懸の手当を受けた事で、
傷は快方に向かう事に。

そのまましばらく彼女の家に
匿われていた彼。
彼を最初に助けてくれた矢ノ彦が、
何も出来無い彼が
退屈しないようにと
おもちゃを持って遊びに来てくれて。
その時、文字が読めない事を
聞いた彼は、矢ノ彦に
いろは唄を教えてくれた。
そしてコマ回しも。

そんな風に知らない事を
色々と教えて、
毎日練習すると上手になる
…と教えてくれた彼が
大好きになった矢ノ彦は、
教えてくれた彼とそして彼女を
喜ばせたい一心でうたを覚え、
コマの練習もした。

一方斬鉄への仇討ちはというと、
斬鉄が御前試合に出ていると聞き、
斬鉄と対戦するときに、
仇討を果たそうとしたものの、惨敗。

一度は仇討ちを諦めたものの、
やはり諦めきれなかった彼は、
再び彼を探して仇討ちを挑む事に。

卑怯な斬鉄が仲間を
連れて行く所を目撃した彼女が、
たまたま出会った螢に
それを知らせた事で、
花嫁行列の仲間が全員集合、
彼の仇討ちを助太刀してくれた。

斬鉄の仲間を他のみんなが
押さえてくれた事により、
彼女との時間が彼の心を変え、
仇討ちを果たして死ぬつもりが、
生きる為の仇討ちという
捉え方になった事により、
無事に家族の無念を
果たすことの出来た。

その後彼は国にはかえらず、
矢ノ彦のように、
貧しくて学ぶ事の出来無い子供達の為に、
寺子屋を作る事にした。

これからは学問が必要な時代が来るから、
誰でも学べる場所は必要だ
…と。

それに何より、
知らない事を知りたいという純粋な気持ち、
知らない事を覚えた喜び、
出来無い事が出来るように
なった時の感動…など、
忘れていたそんな気持ちを
矢ノ彦が彼に見せてくれたから。

だからもっとそんな笑顔を
沢山の子供達に見せて欲しくて、
彼は寺子屋を作る事を決意。

そうして彼女と共に、
江戸で暮らす事なったのだった。

2017年5月25日木曜日

DYNAMIC CHORD feat.Liar-S V edition/榛名宗太郎

斉藤壮馬さん演じる
榛名宗太郎のネタバレ感想です。


-----☆★☆-----


ごめんね。
私はまだ弱いから、
あなたを守れる王子様になれそうにないの。

-----

彼の母は華道の家元の
家に生まれたお嬢様。
母が恋した相手とは、
家柄が釣り合わないからと反対された。

それでも愛し合っていたから。
だから二人は駆け落ちした。

そうして生まれたのが彼。

駆け落ちした両親の暮らしは、
決して楽なものではなく、
とても貧しい暮らしながらも、
愛し合う両親と共にくらした日々は
とても幸せなものだった。

所が、父が病で亡くなってしまったのだ。
まだ彼が幼い頃に。

以来、母親は昼と夜と仕事を掛け持ちして、
女手一つで彼を育ててくれた。
どんなに忙しくても、どんなに大変でも、
母は笑顔を絶やさない素敵な人だった。
そしてそんな母が彼は大好きだった。

貧しいながらも
母ひとり子一人の生活は
幸せな日々だった。

そんな二人の生活は、
母の従兄弟の登場で激変した。
おじさんは
母が駆け落ちしたのを知ってから、
彼の母の行方を探していて。
夫を失くして
息子と二人で暮らしている二人に
手を差し伸べてくれたのだ。

幸せではあったものの、
今日食べるものに困る事も在るほど、
二人の暮らしは貧しいものだったから。

失った夫を愛していた母は、
おじさんの申し出を断ったのだが、
育ち盛りの子供がいるんだから
…と説得され、
おじさんの家で世話になる事に。

食べるものに困る暮らしから、
物に恵まれた暮らしになり、
彼はただただそれが嬉しかった。
おじさんは優しくしてくれたし、
彼に何でも与えてくれたから。

だから気づかなかったのだ。
手遅れになるまでずっと。
あんなに笑顔だった母が、
笑わなくなっていた事に。

けれど、ある日の夜、
目覚めた彼が水を飲もうと部屋を出た時、
おじさんの部屋があいていて、
その中で母が性的虐待を受けている所を
見てしまったのだ。

でも彼には何も出来なかった。
母が辛い目にあっていると知っても尚、
助ける事が出来なかった。

そうしてついにその時がやって来きた。
彼が学校から帰ると、
母の姿が家から消えていたのだ。

もう耐えきれなくなった母は、
息子を置き去りにして、
家を逃げ出してしまった。
彼に置き手紙を残して。

母が居なくなった事に気づいたおじさんは、
ひどく落ち込み、彼に泣きついた。
母にそっくりな彼に。

そうしておじさんが望むまま、
彼は女装をし、母の身代わりとなった。

その事が原因なのだろう。
その頃から彼は、
女のように振る舞う方が
楽だと感じるようになっていた。

そうして女装をさせられている彼の様子を
心配した近所の人の通報で、
おじさんは本家から縁を切られて、
彼は母の実家に引き取られる事に。

けれど、女のように振る舞う彼を
どう扱っていいのか、
実家の人々は分からないまま
彼を持て余してしまう。

そんな周りの空気を察した彼は、
そこに居場所を見つけられず、
大学進学に合わせて一人暮らしを始めた。

実家を出て一人暮らしを始めたものの、
やはり居場所は見つけられない彼。
寂しくて苦しくて。
そんな時、S-leeperと出会い、
彼らの音楽に衝撃を受けた。

その後、ベースが抜けた事で、
芹に頼んで新しいベースとして
S-leeperに参加。

最初は千哉や朔良とうまくやれず、
苦労した事もあったものの、
人当たりのいい彼は、
いつしか彼らの仲間として認められるように。
そうして彼には新しい居場所が出来て、
彼らはLiar-sとしてデビューする事に。

-----

デビュー後、朔良と千哉が、
心に問題を抱える事となり、
Liar-s存続の危機に見舞われた時、
Liar-s公認の『友達』として任命された彼女とは、
同じ大学の同じ外国語学部だった。

心を開かない二人を相手に、
何度も傷つけられながらも
懸命にLiar-sの為に頑張る彼女は、
女の子でありながらも
彼には王子様のように見えた。

私、Liar-sの王子様になれてるかな?

彼が王子様を探している事から、
そんな風に訊き、
頑張り続ける彼女を
愛おしく思うのにそう時間は掛からなかった。

けれど、愛おしいと思えば思う程、
彼の王子様になりたがる彼女が
不憫に思えてしまう。

女の子はね、お姫様なのよ。
だからちゃんとあなたを
守ってくれる王子様を探さないと。

気づいていた。
本当はずっと前から。
なのに気づかないふりをして、
居心地がいいからと彼女の傍に居続けた。
彼女の想いに応える勇気もないくせに。

だって私は弱いから。
あなたを愛したとしても
あなたを守れる王子にはなれないから。

そんな理由で
彼女を諦めようとしていた。

けれど彼女が芹に告白された事を知り、
更に芹に呼び出され、
芹が彼女を自分のものに
しようとしているのを見た時、
彼の体は自然と動いてしまったのだ。

あの子は誰にも渡さない!

そんな強い感情に突き動かされて。

そうして彼はやっと
本当の想いを彼女に伝える事が出来た。

あなたが好きよ…と。

まだ完全に男に戻る勇気はないから、
彼女の前でだけ
時折男を見せるだけだけれど。
もう少し勇気が持てるようになったら、
彼女の王子様として、
いつでも男として
振る舞えるようになれるかも知れない。

それでもLiar-sのハルちゃんを
ファンの子は求めているから、
今のハルちゃんを捨てる事も
出来ないのだけれど。

私だけが知っている特別な姿みたいで、
今のままが嬉しい。 

彼女にそんな可愛い事を言われたらなおさら。

-----

今はまだ完全に
男に戻る勇気がないけど、
いつかあなたの前でだけは
ずっと王子様で
居られるようになりたいから。

だからそれまでは、
半分お姫様、半分王子様で居させてね。





2017年5月24日水曜日

剣が君/螢/幸魂:優しい門出

KENNさん演じる
螢のネタバレ感想です。


-----☆★☆-----


約束の山吹1000本だ。
こんなもんで結婚を許してもらっちゃ
簡単過ぎるだろ?
もっと他にやることないのか?
大事な娘をもらうんだ、
あんたはもっと俺に
無理難題をふっかけていいんだぜ。


-----

螢は、奉行所の十手持ちをしている
頼れる兄貴タイプ。
花嫁行列に
用心棒として参加した理由も、
見回りに行っている長屋で
三郎三が借金をしてしまい、
それが返せず、娘のお里が
連れて行かれそうになったのを助ける為、
彼の借金の10両を返すために参加。

彼は異常に力に執着していて、
御前試合にも参加したが、
自分の力を江戸のみんなに認めさせたいと、
そんな彼の異常なまでの力への執着を
初めは彼女も理解出来なかった。
けれど、彼が鬼である事を知り、
それを理解する事となった。

その昔、人鬼の乱という
人と鬼族の争いがあった。
その時、負けてしまった鬼族は
刀を奪われ帯刀を禁じられた。
そんな鬼族の彼の住む村は、
ある時ならず者に焼き払われ、
その時彼は両親を失った。

理不尽な暴力。
ただ鬼族であるというだけで
振るわれた力。
けれど振りかかる火の粉を
払う術を持たなかったのだ。
刀を持つことを許されない
鬼族の彼らは、
ただ理不尽な暴力の前に
為す術もなく膝をおるしかなかった。

だから力が欲しかった。
あの日自分が無力だったから、
父の命が、母の命が奪われた。
だから力が欲しかった。
もう二度と大切なものを
失ってしまわぬように。

彼は人鬼の乱の
鬼側の総大将を務めた鬼の王族、
温羅の末裔。
御前試合で優勝し、
天下五剣を手にする事になれば、
嫌でも素性を明かすことになる。
そうして自分が鬼族だと知れる事で、
鬼の力を認めて貰い、再び鬼も、
人間と同様に暮らせる世の中を
作る足がかりになるのでは?

王族である彼はそう考えた。

鬼である彼は、鉢巻で角を隠し、
人間であるように見せて、
江戸の町の十手持ちとして、
町の治安を守ってきた。

そうして花嫁行列でも、
素性を隠したまま、
盗賊として現れた鬼の事も、
悪事は悪事、同胞だからなどとは考えず、
刃を交えて彼女を救ってくれた。

その後、江戸で再会した時も、
十手持ちの仕事として、
御前試合で賑わう町の治安を守る為、
見回りを担当して金さんに連れられ
挨拶に来た時だった。

その後、彼が御前試合に
参加する事を聞いたり、
鈴懸と再会し、
螢さんの鉢巻に触れようとした鈴懸を
力任せに弾き飛ばしたり…と、
なんだか粗忽者のような様子を
見せられたりと、
彼女とは何度もスレ違ってしまう。

ある日、彼女の留守に
彼女の家の茶屋を訊ねた彼。
彼女の父に進められるがまま、
お茶を御馳走になった時、
娘が煮た豆が
美味しく出来たのでどうぞ
」と言われ、
鬼族は豆を食べると
蕁麻疹が出てしまうため、
普段は決して食べないのだが、
嬉しそうに勧める父の笑顔や、
彼女の手料理だという事で、
思い切って食べてくれたのだ。

慌てて帰宅したため、彼女の店に
金子を落としてしまった彼。
それに気付いた彼女の父は、
彼女にそれを届けるように頼み、
奉行所で彼の住まいを聞き
訪ねて行った。

迎えてくれたのは
優しそうなおばあさんで、
金子の事を話すと、
今具合が悪くて寝ているのだけど、
直接渡してあげてちょうだい

…と言われた彼女。

そう、彼は彼女のお父さんの笑顔と、
彼女の手作りに負けて、
豆を食べてしまったが、
やはり体はそれに耐えられず、
蕁麻疹で寝込んでしまっていたのだ。

ぶっきらぼうで、口が悪い。
乱暴な所もあるけれど、
根はとても優しい彼。

その後、彼の祖母と親しくなった彼女は、
美味しいお茶を御馳走になったお礼に…と、
刺繍が趣味の母親の形見の
綺麗な糸などを祖母に届けた。
彼の祖母は、刺繍がとても得意で、
それを売って
収入を得ている程だったから。

そうしてそれを届ける道中、
ばあちゃんに刺繍を習ったらどうだ?
という彼の提案で、週に一度、
祖母の元に通うようになった彼女。

所がある日、そんな彼の祖母が
寝込んでしまったと、
螢さんの一番弟子の
かむろに聞いた彼女は、
慌てて彼の家を訪ねた。

ばあちゃんの事は心配ない
…という彼に、
医者を呼ぶというと激怒。

何も知らない彼女は驚いたが、
彼は鬼の素性を隠して居るため、
例え祖母の具合が悪くても、
医者に診てもらう訳には
行かなかったのだ。

そうして病に効く
湧き水を汲みに行くと言う彼に、
半ば無理やりついていった彼女。
道中話をしながら歩いていると、
誰かが傍についててくれるって事が、
こんなに心強いって知らなかった
」と、
彼女が傍に居る事を
とても喜んでくれたのだ。

所が彼女が湧き水で脚を滑らせ、
誤って頭から水を被ってしまったため、
そのまま濡れた着物で帰ると
風邪をひくから
…と、
彼に着物を脱ぐように言われ、
しぶしぶ無防備な格好になった彼女。

彼が着物を干しに行っている間に、
そこに黒羽が現れた。
とっさの事に、
きゃーっ、螢、助けて!
と彼女は悲鳴をあげてしまった。

すぐに黒羽だとわかり、
事情を話したものの、
悲鳴を聞きつけた彼は、
黒羽へと刃を向ける。

だって思い出してしまったから。
彼女の悲鳴と共に、
あの日、自分の村が焼かれ、
両親を失った時の恐怖を。

コイツだけは絶対に失う訳には行かない!

そうして怒りに任せて剣をふるう彼は、
雷の力を発動してしまった。
その力は鬼族のみが使えるもので、
黒羽はそれに興味を覚え、
彼の鉢巻を切って、
鬼である事を確認したのだ。

最初こそ驚いたものの、
鬼であっても螢は螢。
彼が優しい事には変わりないと思えた彼女は、
ふたりきりで湧き水の
泉のほとりで話をした。

恐怖に怯えて
指先まで冷たくしている彼。
きっと何度も
辛い思いをしてきたに違いない。
彼が鬼だというだけで、
彼は彼として見て貰えない。
どんなに親しくなったとしても、
鬼と分かれば
手のひらを返したように冷たくされ、
みんな自分の傍からいなくなる。
そんな事を繰り返して来たから。

それでも変わらず傍に
居てくれる彼女に安堵した彼。

彼が鬼と分かってから、
彼女は今まで誤解してしまった
すべての出来事に納得出来るように。

あぁ、そうか。
どれも彼が素性を隠す為に
必要な事だったんだ。


…と、理解出来たから。

その後、彼の祖父が
許嫁を連れて来た事から、
二人の仲が
ぎくしゃくしたりしてしまったが、
その許嫁の女性も、
実は慕っている男性が居て、
彼が江戸に居る事から、
結婚の話に乗る形で、
江戸に彼に会いにやって来たのだった。

戻った祖父に、御前試合で
おまえ一人が頑張った所で、
なにが変わると言うのだ?

と言われた事と、
訪ねて来た呉葉が
熱を出した事から御前試合を棄権。

呉葉の事と御前試合の事で、
彼が変わってしまったと
誤解した彼女とは、
喧嘩になってしまった。

そんな時、許嫁の呉葉に、
自分は江戸で愛する人と
幸せになりたいと思うと、
侍を紹介された彼は、
そんな強い彼女に背中を押され、
彼女に好きだと告げ、
一緒になって欲しいと言ったのだ。

御前試合で、
自分の力を見せつける事で、
鬼族の立場を変えようとしていた彼。
けれどそれは、
違うという事に気付いたのだ。

まずは一番大事な彼女と
自分が幸せになる事。
そうする事で人と鬼も
こうして歩み寄り分かり合い、
互いに手を取り幸せになれるのだと、
みんなに分かってもらいたい。
それをきっかけとして、
少しずつ両者の関係をいいものにして、
鬼も人も関係なく、
幸せに暮らせる世界を作りたい。


そう思うようになった。

そんな決意のある彼だから、
鬼である事を伏せていれば、
彼女の父にも
祝福してもらう事は簡単なのに。
誠実な彼は、
本当の意味で祝福されたい。
両親の居ない自分に
父親が出来るのだから、
本当の意味で家族になりたい!
…という思いから、
彼女の父に、鬼である事を明かした。

当然、江戸の民にとって
鬼とは悪のようなもの、
受け入れて貰えるはずはない。
彼はすぐに追い返されてしまった。

そうなる事も分かった上で、
彼女にそんな言葉を聞かせない為、
敢えて彼女の留守を狙い訪ねたのも、
また彼の優しさだった。

その後、諦めずに彼女の父に
話をしに通う彼。
今度は彼女と三人で話をしたが、
その話でしたら、娘はやれません!
の一点張り。

それでも諦めないという
強い意志のある彼は、
1つずつ困り事を聞いて、
全部解決してみせるというのだ。

そんな彼の真摯な想いには
心を打たれたものの、
この子の母親が
この子の結婚式には
山吹を千本摘んでお祝いしたいと
言っていた

という話を持ち出した彼女の父。

だから明日の母親の命日までに
1000本の山吹を摘んでこれたなら、
この子との結婚を認めましょう。
ただし、明け方に間に合わなければ、
金輪際この子に近寄らないでください。


そんな無理難題をふっかけたのだ。
今年は山吹の咲きが悪いと
知っている彼女も、
どうしてそんな嘘を言うの?
父さまなんて、最低よ!

と父を怒った。
けれど、そんな言葉を
彼に諭されてしまう。
父ちゃんはおまえの事を
本当に心配して言ってるんだ。
だからそんな事を言うもんじゃねぇ。
父ちゃんに謝れ
」と。

山吹1000本でいいんだな?
それくらいで
こいつと一緒になれるなら、
いくらでも摘んできてやるよ!


不敵な笑みを浮かべ、
そう言い放った彼。
彼は約束を決して違えない誠実な人。
だからどんな事をしても、
絶対に山吹を1000本摘んで来てくれる。

そう信じて彼をひたすら待つ彼女。

一方大きな事を言ったものの、
山では全く山吹を見つけられない彼。
子分のかむろと困り果てていた所、
黒羽がそこに現れた。
森の中に居た彼に山吹の事を訊ねると、
見かけた場所を教えてくれた。

そうして二人の手を借りつつ、
彼は崖から落ち、
怪我をしたりもしたが、
彼女の父の要求通り、
山吹を1000本摘んで帰ってきたのだ。

そうして笑顔で告げた。

約束の山吹1000本だ。
こんなもんで結婚を許してもらっちゃ
簡単過ぎるだろ?
もっと他にやることないのか?
大事な娘をもらうんだ、
あんたはもっと俺に
無理難題をふっかけていいんだぜ。


笑ってそう言う彼。

どんな無理難題だって、
アイツと一緒になる為なら、
こなしてみせる
と自信ありげに。

そんな彼の真っ直ぐな想いに
心を打たれた彼女の父は、
螢さんになら娘を任せられる…と、
結婚を承諾してくれた。

その後、彼のふるさと
吉備の国の鬼ノ城で
二人の結婚式が行われた。
鬼ノ城の鬼族の人たちはみな優しく、
彼女の嫁入りを
大変祝福してくれた。
そして人間の彼女の親友や、
かむろなど、沢山の人が
二人の門出を祝いに来てくれた。

今まで鬼である事で
苦労して来た彼だったが、
ちゃんと鬼というフィルター抜きで、
彼を彼として見てくれる、
そんな人間たちも沢山居る事に
気付く事が出来たのだ。

彼女との出会いが、
鬼である事を隠していた彼に、
鬼である事の誇りを
思い出させてくれたのかも知れない。

今はまだ本の小さな世界。
それでも人間も鬼も垣根なんてなく、
共に祝福し合える場所があるのだから、
この小さな輪を少しずつ大きくして、
いつか日の本全体に、
そんな垣根などなく、
鬼も人も幸せに暮らせる世界が
きっと訪れるに違いない。
彼らが築いていくに違いない。

-----

おまえはやっぱすげぇ女だぜ。
俺はずっと一人だった。
けど、おまえと一緒になるためならば…と、
いろんなヤツが協力してくれたんだ。
そうして俺は本当の仲間を手に入れた。

2017年5月23日火曜日

剣が君/鈴懸/幸魂:祝福の風

逢坂良太さん演じる
鈴懸のネタバレ感想です。


-----☆★☆-----



彼は貧しい村の貧しい家で生まれ、
生まれてまもなく、
口減らしで高尾山に捨てられた。
そんな時、偶然捨てられた
赤ん坊の彼を見つけた
高尾山の天狗カルラ。
彼は薬に人間の臓物を使いたいという
妖らしい理由から、
その赤ん坊を拾った。
すると、彼の夢に神様が現れて、

その赤子は将来天下五剣を手に、
この日の本を救う者。
殺したりせずに大切に育てなさい。


そうお告げをして行ったのだ。

そのお告げに従い、
カルラは彼を育てた。
初めは妖の棲まう山に
人間の子供が居る事を
良しとしない妖たちに、
嫌がらせをされた彼。
けれど、どんなに転んでも
怪我をしても、
彼は泣くことも怒る事もせず、
ニコニコと笑っていた。

そんな心優しい彼に
転機が訪れたのは6歳の時。
高尾山が山火事に襲われた際に、
彼は覚醒し、自然の声を
聞く事が出来るようになった。

以来、そんな彼を
妖たちも受け入れて、
仲間としてみんなで
大事に育ててくれた。
天狗のカルラは剣術や術、
そして医学について教え、
ぬらりひょんが彼に
薬学を教えてくれた。

そうして18歳になった彼は、
剣の腕も立ち、医学的知識も豊富な、
立派な青年に育った。

けれど彼は人間。
ずっと高尾山で妖と共に
生きていくのは好ましくない。

そう判断したカルラが、
彼に江戸に出て、
新しい夢を見つけなさい。
そうして人として生きていくように

…と、彼を江戸へと送り出した。

到着した彼は、
先立つモノが必要という事で、
花嫁行列の護衛を
幕府が探している事を聞き、応募。
柳生のお眼鏡にかない、
無事に護衛の任を任された。

そうして偽の姫役の彼女と出会い、
慣れない御役目と
初めての旅で緊張している彼女に、
いつも優しく接してくれた。

彼は彼女の乗る馬を引いたのだが、
自然の声を聞く事が出来るので、
馬と心をかよわせる事が出来た。
そんな彼は、とてもやさしく
馬の事も扱っていた。

花嫁行列の道中、鬼の山賊に襲われ、
一度彼女がさらわれてしまうのだが、
彼が助けてくれた。
その後6人の用心棒は
無事に合流する事が出来たが、
鬼の攻撃の際に、ふた手に分断され、
徳川サイドのメンバーとは別行動。
用心棒6人と彼女とで、
花嫁行列を続ける事になった。

その時に侍女代わりに、
一番信頼出来る者を従者として
傍に置いておくようにしよう

…と彼らから提案があり、
一番一緒に過ごしていた彼に
その役を任せた事で、
一段と距離を縮めた二人。

そうして駿府到着後、
無事に徳川サイドのメンバーとも合流。
花嫁行列の報酬を貰い、
それぞれ駿府で一泊後、
自分たちの行くべき道へと進んで行った。

-----

江戸に戻った彼女は
父の営む茶屋の手伝いをしていたが、
用事を頼まれて外に出た時に、
知らない男の子に道を訊かれた。

その彼は、
何故か耳もしっぽも生えていて。
それが気になった彼女はつい、
あの…しっぽ…」と
言ってしまった。

慌てた彼は、そのまま踵を返して
逃げて行ったが、
その時にお財布を落としてしまい、
それを拾った彼女は、
彼が困るのでは?と心配し、
急いで後を追いかけた。

たどり着いたのは森の奥地。
そこで神威と名乗る
医者の弟子と知り合い、
彼に事情を話した所、
きっと变化に失敗した化け狸だろうと。
そうしてアイヌ出身の彼は、
森の妖精である木霊にたずねて、
彼の居場所を聞き出してくれたのだ。

ひどく落ち込んでいるみたいだから、
脅かさないように
声を掛けてやるといいよ
…と、
とてもやさしく教えてくれた。

神威のお陰で、
無事にお財布を返す事が出来、
また化け狸は
友達の人間の男の子の為に、
家を貸してくれる所を探していて、
それを訊ねたかった事が判明。

翌日、その人間の男の子も交えて、
紹介出来そうな空き家を
案内する事になった。

そうして翌日訪ねてみると、
その化け狸はなんと彼の友達で、
家を探しているのは鈴懸だった。

彼を連れて、空き家があるという
裏通りの長屋に案内して、
大家に彼を「お医者さまです」と紹介。

大家にも、彼女の紹介であることや、
若いのに医学の知識も豊富な
医者である事から信用を得た彼。
すぐに部屋を貸して貰える事に。

その長屋に決めた理由が、
あまりに病気の人が多いから
…という、彼らしい理由だった。
彼には理解出来なかったのだ。
貧しいからと医者にかかれない事が。
人は等しく医者に
診て貰えるべきだと考えるから。

その当時、医者の資格は必要なく、
医者を名乗る人々は
払いの悪い貧しい長屋の住人よりも、
沢山お金を持っている
富裕層を相手にする方が楽だし儲かる。
そんな理由から、貧しい人にとって、
診療所の敷居は大変高いものだった。

優しい彼は、
長屋に住むとすぐに診療所を始め、
お金のない長屋の人々の事も
親切に診察し、
お金は元気になってからで
大丈夫だから
」と、
いつもニコニコしているような、
そんな優しい医者だった。

だからこの現状をなんとかしたくて、
彼女の案内で江戸城に行き、
門番を気絶させ、そのまま城内に侵入。
長屋の人々が医者に
かかれるようにして欲しい!
と、
家光に直談判したのだった。

家光は、そんな率直な彼が気に入り、
御前試合で優勝したら、
そなたの願いをなんでも叶える

…と約束してくれた。

そうして忙しく
診療所の仕事をしながら
御前試合への参加。
彼は見た目は優しそうなのに、
身軽だし剣の腕も立つので、
順調に勝ち進んだ。

そうして迎えた決勝戦。
彼女も当然応援に行く予定だったが、
長屋のおじいさんが熱を出し、
彼が看病していた為、
試合に出る彼に代わり彼女が看病する事に。

傍に居られないながらも、
彼の勝利を祈る彼女。

そんな時、長屋に
借金の取り立てに男がやって来た。
女性から無理にお金を
取り立てようとしているのを
見かねた彼女は、助けに入り、
剣を抜いた借金取りの男に、
斬られてしまった。

そして倒れた彼女を
心配した化け狸が人間の姿に変じ、
試合前の控室の彼の元に。
彼女が斬られて倒れたんだ、
鈴懸、助けて!
…と。

もう後一歩で優勝という所まで
来ていた彼だったが、
御前試合の優勝よりもずっと、
彼女の命は重かった。
だから彼は試合を放り出し彼女の元へ。

そうして彼が薬を処方し、
彼女の手当をしてくれた。

熱が下るまで時間はかかったものの、
彼の特製薬膳粥も食べられた
彼女の様子に安堵した。
ちょっと出かけてくるから、
寝て待ってて

そう言って出て行く彼を見送って
彼女は眠ってしまったのだ。

しばらくすると、
神威が彼を担ぐように戻ってきた。
見ると、彼は体中に傷を負っている。
どうしたのか?と訊ねても、
なんでもないよ。心配ないから」と、
頼りなく笑う彼。

そうして神威が教えてくれた。
御前試合は
将軍の前で行われる神聖なもの。
それを勝手な都合で
放り出す事は罪なのだ…と。
けれど、黙っていて
しばらく江戸城に近づかなければ、
それでそんな罪は帳消しになるのに、
この男は馬鹿正直にお詫びに来たんだ
…と。
そうしてその場に居合わせた
徳川の侍達に袋たたきにされた彼。
たまたまそこを神威と師匠が通りかかり
助けてくれたんだとか。

それを聞いて申し訳なく思う彼女に、

僕が一番大事なのは君で、
もちろんみんなの事も守りたいけど、
一番守りたいのは君なんだ。
一番大事な人を守れないなら、
みんなの事だって、
守れる訳がないから。


そう優しく言ってくれた彼。

彼女と心を通わせた事で、
彼は江戸の街でこれからも、
診療所の医者として、
みんなの為に働きたい。
そうしていつも
一番大事な一番大好きな彼女を、
誰よりも傍で守りたい

…と思うようになったのだ。

カルラに見つけろと言われた
新しい夢は、こんな風に始まった。

そうしていつも笑顔で手伝いに来る彼女は、
父の茶屋だけでなく、彼の診療所でも、
すっかり看板娘となっていた。

彼と共に過ごし、元々優しい彼女は
どんどん優しくなって。
そのおかげだろうか?
彼女にも木霊が見え、
木霊の声が聴こえるように。

彼しか知らなかった世界。
彼女はそれを見て、
聞く事が出来るようになったのだ。

それはきっと心の綺麗な二人だけの
とても美しい世界。
これからもその優しい心で、
沢山の人々を救って行く事だろう。

2017年5月13日土曜日

アルカナ・ファミリア

ファミリーのボスを
父に持つ主人公は、
生まれながらにして
アルカナ能力を2つ持つ少女。

彼女の能力の特殊さから、
色々な事態を想定し心配した父の命で、
主人公は母と従者のルカと、
三人で田舎の小さな家で暮らしていた。

そうして16歳になった彼女は、
父の居る家に戻り、
家族やファミリーと暮す事になった。
本人の希望どおり、
アルカナ・ファミリアの一員として。

その実力が認められ、
剣のセリアの幹部になった彼女だったが、
そんな春のある日、父が突然発表した。
アルカナ・デュエロを開催し、
優勝者には娘を嫁にやる…と。
しかも結婚したら
家から外に出さないという条件つき。

ボスの決定は絶対という事で、
彼女を含め10人で
開催される事になったデュエロ。
そこで父の言いなりにならず済む方法は
彼女が優勝する事以外ない。
そうして2ヶ月後に開催されるデュエロに向け、
運命が動き始めたのでした。

攻略キャラクター

・リベルタ(福山潤さん)
・ノヴァ(代永翼さん)
・デビド(吉野裕行さん)
・パーチェ(杉田智和さん)
・ルカ(中村悠一さん)
・ダンテ(小杉十郎太さん)
・ジョーリィ(遊佐浩二さん)

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リベルタ

※攻略した順番に記載させて頂いております。
 ☆はお気に入りのキャラクターです。


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紹介してある画像が、
PSVita版ですが、
私はPSP版のプレイです。

おそらく、システムとか
使い勝手など、改善されている点が
多々あると思います。
ちょっと不満かも?なんて書いている部分は、
きっと解消されている!…と思って、
挑戦してみて下さい(笑)

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今まで出会った乙女ゲームとは、
全然違うタイプのゲームだったように感じます。

立ち絵で進むゲームの中で、
例えば、主人公が怒ったりすると、
バトルみたいになる事があるのですが、
そういうのが漫画風に描かれてて。
斬新だなって思いました。

後は主人公が喋りません。
いや、乙女ゲームで主人公のボイスないとか、
普通にあると思うのですが、
コルダの主人公とか、
ドラクエの主人公並に喋りません(笑)
文字しても、主人公のセリフないです!

なので、キャラ達の声を
その分多く聞かせて貰えた感じ。
例えばシチュエーションCDなんかは、
相手がいると仮定して演じてくださってて、
女性側の状況なんかも、
演じている声優さんのセリフで説明されてますよね?
それに近いイメージかな?

なので、主人公は主人公として、
好きになる感じの方よりは、
自己投影好きな方の方が楽しいかな?と。

内容はなかなか難しくて、
予備知識なしで入った私は、
一周では理解出来ない部分も多々(笑)

モンドがどうなったのか?
運命の輪を使ったのか?
3つあるエンドのうち1つしか見ていないので、
まだ分からないのですが、色々と難しいです。

アルカナ能力とか、
タロッコとの契約の事とか。
ファミリーもなんか領主と同等で、
島を守っている集団みたいな感じのようです。
…と、分からない事もまだ残っています。

全体的に甘さは低めかな?と思いますが、
キャラが本当にみんな素敵で、
キャストさんもすごくあっていると思います。

ただオートセーブが色々邪魔でした(笑)
オフにしても、毎回オフだけど、
セーブしないの?
みたいな確認があったりと(笑)

後、既読スキップが
なかなか使いづらい感じかな?
というもの気になりました。

システムで気になる部分はありますが、
本当にキャストさんが素敵で、
そういう意味でも引きこまれました!

そして最初にお話させて頂いたように、
今挙げたシステムの気になる点は、
Vita版は改善されてるかなぁ…と思います。

特に福山さん、本当に凄かったです。
声にも彼の成長が現れてて。
やっぱりうまいですね?

おまけのアモーレボイス?
あれのセクシーさに、死ぬかと思いました(笑)
リベルタしか聞けてませんが、
みんなあんな風にセクシーだったら、
ときめきすぎて倒れます(笑)

でも、本当にリベルタのアモーレボイス、
素敵過ぎるので、福山さん好きさんには、
是非聞いて頂きたいなって思いました。


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オススメ度:★★★☆☆
個人的満足度:★★★☆☆

2017年5月12日金曜日

アルカナ・ファミリア/リベルタ/ED1

福山潤さん演じる
リベルタのネタバレ感想です。


-----☆★☆-----


福山潤さん演じるリベルタは、
外交・情報収集を担当する諜報部の一員。
18歳の男の子で、
アルカナははじまりのカード
【イル・マット/愚者】。

彼は自分の意志を現実にする力があり、
言った事が本当に起こってしまう、
言霊使いのような能力を持っている。

彼には身寄りがなく、
幼い頃は施設で育った。
ただ、その施設、
表向きは国の施設となっていたが、
施設の子供達を利用しているような場所で、
彼もその能力を悪用されそうになっていた。

そこに助けに駆けつけたアルカナ・ファミリア、
諜報部幹部のダンテ。
彼が駆けつけた時には、
既にリベルタのアルカナ能力により
施設は燃えていた。
その炎の中から彼を助けだして、
ダンテは人の記憶を封じる能力を持っているので、
その力でリベルタの記憶を封印した。

それでも思い出しては癇癪を起こして、
能力を暴走させていたリベルタ。
現在はスキンヘッドのダンテだが、
彼の頭も、船長になりたいと
駄々をこねたリベルタが
ダンテの髪なんて、全部剥げ落ちちゃえ!
と言ったら、
燃えてなくなってしまったんだとか(笑)

そんな彼は、なんと彼女の父の
先妻との間に出来た息子の子供、
つまり、彼女の父の孫だった。
アルカナ・ファミリアに連れて来られた彼は、
その強すぎる能力から
ボスであるモンドの力と、
ダンテの力で能力に制限を掛けた上で、
記憶を封印されてしまった。

そんなリベルタなので、ゲーム開始の段階では、
彼は自分は親が居なくて施設で育った。
アルカナ能力は不安定で、みんなみたいに使えない。
けど、俺にはスペランツァ(剣)があるから大丈夫!

とそんな感じの明るい男の子でした。

アルカナ・デュエロのが決まった時も、
ボスであるモンドに
横暴だ!ひどすぎる」と意見してくれ、
心配すんな、お嬢。
俺が優勝して、お嬢を助けてやる

と言ってくれたのです。

彼女はと言えば、母に
「あなたが優勝して、
自分の好きにするのも手よ」と、
助言された事から、
リベルタ同様デュエロでは優勝を目指す事に。

そうして二人は
アルカナ・デュエロに向けて
行動を共にする事が増える中、
彼は少しずつ記憶が戻り始めた。

今までも何度か記憶を戻しては、
彼が受け止め切れない事から、
その都度ダンテが封印する…を繰り返して来た。
今回も全部思い出してしまった彼だが、
彼女という支えがあった為、
乗り越えよう…と戦う事に。

今までは受け止め切れずに封印されて、
結局向き合えないまま逃げて来たけど、
もうそれじゃいけないと思えたから。

きっとそれは、
行動を共にしている中で芽生えた、
彼女を守りたいという気持ちが
大きくなたったから。

そんな時、事件が起きた。
ヒロインの従兄弟で、
リベルタとはよれば触れば喧嘩するような、
喧嘩友達でもあるノヴァの父が
何者かによってさらわれた
…という情報が。

上からの命令で、待機という事だったが、
居てもたっても居られない彼女と彼に
背中を押されたノヴァは、
三人で独自に行動を開始。

ノヴァの能力で
人質の居る船の全員を眠らせて。
その隙に彼と彼女が
ノヴァの父を助けだした。

せっかくだから主犯格を捕まえようと、
再び船に戻った二人。
そこに現れた仮面の男は、
ノヴァの能力が効いていないのか、
自由に動き回る事が出来る。

そうして仮面の男との戦いの中で、
彼女の上に大きな物が落ちて来た時に、
間に合わないと思った彼は、
使おうとすると
施設を焼き払ったあの日の記憶が蘇り、
自分の力の恐ろしさに心が負けてしまい、
使えなかった能力を、
彼女を助けたいという思いから、
無事に落下物を砕く事に成功し、
そのまま気を失ってしまった。

その犯人や今回の事件は、
その日留守にしていたダンテを始めとした
諜報部の精鋭達が、
彼ら三人にアルカナ能力を
使わせる為、仕組んだものだった。

その後、力は使えたものの、
制御は出来ないし、
あの時もむかしの記憶が蘇って
使うのが怖かったんだ…と落ち込む彼。
そんな彼の話を船の上で聞いている彼女。

だけど彼女は信じていた。
彼なら能力を使いこなせる。
彼なら乗り越えられる
…と。

そんな彼女の気持ちが伝わったのか、
前向きになった彼だったが、
そんな二人を嵐が襲ってきた。
急いで戻ろうとした船の上、
その嵐でたまたま流されてしまった人を
発見した二人は、
救助用のボートに乗り込み、その人を助けた。

無事に救出したものの、
荒れた海の巻き起こす荒波に負けて、
彼女が海に落ちてしまい、
彼女を助けようと飛び込んだ彼とともに、
二人で洞窟まで流されてしまった。

彼が気づいたすぐ後に目を覚ました彼女。
けれど、彼女の体は体温を奪われていて。
再び意識を手放してしまった。

慌てた彼だったが、
諜報部で日頃から船を使う彼は、
ダンテや他の諜報部員から、
災害の時の対応について叩きこまれていた為、
それを思い出して彼女の体を温めようとした。
けれど、火を起こすものがなにもない。

どうしよう?と途方にくれた彼だったが、
思い出した。
自分の能力は言霊のように、
言葉を現実にする事が出来る力。
幼い頃は制御が出来ずに、
建物を全焼させた事もあった。
でも、今はその力しかない。

お嬢を助ける為には、力を使うしかない。
大丈夫だ、出来る
…と自分に言い聞かせ、
大切な彼女を両手で抱きしめて
燃えろ」と言葉にした。

するとやさしい炎が起こり、
彼女の冷えた体を温めてくれたのだ。

気づいた彼女に、
優しくて暖かい」とそう言われた彼の炎。
それをきっかけに、彼は、
自分の能力の制御の仕方を
覚える事が出来た。

もう、これで大丈夫。
ちゃんと使える、ちゃんと守れる。


そうしてデュエロが迫ったある日、
彼女の父が倒れてしまった。

彼女の父は世界の力を持っていて、
誰とも契約していないカードを維持する為、
自らの力を使っているので、
もうその力を
いつ使い果たしてもおかしくない状態なんだとか。

アルカナ能力は等価交換。
その力を得る為に、代償が必要なのです。

そうして主人公には
人の心を読む事が出来る
恋人たちの能力の他に、
運命の輪という力があり、
その力はタロッコと宿主の関係を
変える事が出来る能力。

幹部長のダンテと
相談役のジョーリィの話によると、
彼女はその昔、
倒れた母を助ける為に
無意識に運命の輪の力を
使った事があるんだとか。

運命の輪の力の代償は記憶。
だから彼女は3年分の記憶をなくし、
母を助けた記憶もない。

そんな彼女の力の性質から、
また彼女が誰かの為に
無意識にその能力を使う事を恐れた父は、
彼女をルカと母しか居ない
小さな家で育てただった。

そうして今回の
一見無茶なように見えるデュエロも、
彼女が優勝する程成長してくれれば、
跡を託すのに相応しいし、
そうでなくとも、
優勝したものに彼女を託す事が出来れば、
彼女の特殊な能力を
家から出さないという方法で
守る事が出来る…と、
父親なりの愛情の表れだったのだ。

だから運命の輪の力で、
どうかボスを助けて欲しい

…と二人に頼まれた彼女。
彼女は二つのアルカナ能力の一つ、
恋人たちに大変気に入られて、
生まれながらにして能力を有していたのですが、
その恋人たちと、夢の中で話す事が出来る。

恋人たちの話によると、
誰かと心を通わせて欲しい。
それが自分の欲するものだから。
そうしてくれたのならば、
運命の輪の力を使っても、
その代償を自分が相殺してあげる

…と言われた。

結局、その後、運命の輪を使ったのか、
モンドを助ける事が出来たのか?
今回のED1では分かりませんでしたが、
アルカナ・デュエロでは、彼女の父、
リベルタの祖父でもある
モンドをリベルタがその拳で倒し、
迎えた決勝ではヒロインと当たる事に。

そうして戦いの中で、
自分も強くなったけれど、
彼女にも強くなってほしい。
お嬢が強く居てくれれば、
俺も負けらんねーって思えて、
そうして互いに成長出来るから

…という彼と戦い、勝利を収めた彼女。

彼女がファミリーを継いで、
そうして今回のデュエロに向けて、
共に成長し、心を通わせて来た
彼とも結ばれました。

彼の夢は、このレガーロ島から出て、
船で世界を回る事。
この世界は広くて、
まだまだ自分の知らないものが沢山あるから、
それを見てみたいんだという彼。
そうしてそんな自分の隣には、
いつもお嬢が笑っていてくれるんだ
…と。

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もう、お嬢の居ない未来なんて、
思い描けない。
俺の思い描く未来には、
いつだってお嬢が居るんだ。

2017年5月11日木曜日

KLAP!! ~Kind Love And Punish~ Fun Party/After Story/周防壮介

梶裕貴さん演じる
周防壮介のネタバレ感想です。


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沢山の思い出をくれたキミには、
何度ありがとうって言っても足りない。
だから、今日は特別な雪を
キミに贈るよ。


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ずっと両親に会いたくて、
だから最年少で黄泉校に入学し、
両親と会うことを楽しみに
頑張ってきたのに。

卒業を間近に控え、
会うのが楽しみだと送った手紙には、
会えないと書かれていた。

そうして彼は彼女とともに人間界に。

当然黄泉校を卒業していないものが
人間界に行くことは許されない。
あくまで特例としての外出。
戻ればペナルティーが課せられる。

それを知ってもなお、
彼は確かめたかった。
ずっと会いたいと言ってくれていた、
彼の卒業を待っていてくれた母が、
突然会えないと連絡してきた理由を。

けれどそれは雪女の長の罠で、
雪女の世界で異端であった彼と言う存在を
消し去りたかったと知った彼。
更には彼の両親は、
既に雪女の長の手にかかり、
既に居ない事も知らされた。

文通の相手は母のふりをした祖母で、
祖母が彼を育てたかったのに、
それを許して貰えなかった事も。

そうして奪おうとする長を、
守ろうとする彼が退け、
狙われて居た祖母を助ける事に成功。

両親を失っていたと言う事実に
嘆いたものの、
自分に祖母が居ると言う現実は
嬉しくもあった。

そうして再び黄泉校に戻った二人だったが、
彼は卒業が延期され、
もう一年黄泉校で学ぶ事となり、
彼女は逢魔を追放され、
ぬらりひょん高校の紹介した
人間の学校で教師をする事に。

そこから二人は一年の遠距離恋愛を経て、
人間界で再会を果たした。

彼は念願の家族と暮らすと言う夢を叶え、
祖母と二人暮らしを始め、
彼女との交際も順調だった。

そんなある日、
自分には振り返る思い出がないと、
元クラスメイトが開いてくれた
彼の卒業祝いで言っていた言葉を
思い出した彼女により、
水族館へと連れ出された彼。
そこで大好きなペンギンと、
そのペンギンの
世話をして居る飼育員を見て、
働きたいと思うように。

そうして無事に
水族館の飼育員の
アルバイトを始めた彼。
楽しく笑顔でバイトをして居る様子を
偶然見かけた彼女も安心していたのに。

その頃、彼の祖母が体調を崩してしまう。
我慢強い祖母は、
目眩を起こしたにも関わらず、
心配する彼に笑顔で平気だと告げ、
その後、彼女と街で会った時にも
同じように目眩を起こしたのに、
やはり平気だと我慢してしまった。

そうして二人がデートの帰りに、
一緒に周防家に戻った時に、
ついに我慢しきれず倒れた祖母を発見。
慌てて救急車を呼び、病院へ。

その時、街で彼の祖母を見た時に、
具合が悪そうだった…と話した彼女に、
まだ子供な彼は怒鳴ってしまった。

どうして何もボクに言ってくれなかったの?
まるで彼女を責めるみたいに。

そうじゃない。
言いたい事はそんな事じゃない。
ただ、おばあちゃんに
もしもの事があったら、
どうしたらいいか分からなくて、
怖かったから。


けれど、そんな心の内を伝えられないまま、
彼女を傷つけた後悔から、
彼女を追い返してしまう。

このまま一緒に居たら、
もっとキミを傷つけそうで怖かったから。


その後、彼女が何度も連絡をするも、
彼からの返信はなし。
彼の様子も、彼の祖母の具合も
心配でたまらないものの、
訪ねる事が出来ないまま数日が過ぎた頃、
彼からメールが。

おばあちゃんが退院した。

一言だけのメール。
それでは祖母の体調がどんな様子か、
見当もつかなくて。
その日の仕事帰り、
思い切って彼の家を訪ねた。

すると、元気そうな様子の彼の祖母が。
倒れたのは、
老化と疲労、そして風邪が原因で、
大きな病気の心配はないと。

彼の祖母のその話に安堵した彼女だったが、
その日はあいにく彼はバイトで、
会う事が出来なかったのだ。

壮介くん、怒ってましたよね?

思わず彼の祖母に尋ねると、
そんな事はないと教えてくれた祖母が、
箱を彼女に見せてくれた。

その中には、遠距離恋愛中に
やり取りした手紙の全てと、
彼女と沢山撮影した写真が、
彼女が彼のバイトが決まったお祝いにと
プレゼントしたアルバムに
しっかりと収められたものが入っていた。

祖母によると、
最近の彼は昔の手紙を読み返したり、
思い出の写真を見たりしながら
ため息をついていたんだとか。

あの子は子供だから、
引くに引けなくなって居るんだと思います。


そんな祖母の言葉に、
居ても立っても居られず、
彼女は彼のバイト先の水族館へ。

そうしてやっと言葉を交わした二人は、
あの日の事を話し合い、無事に和解。

一人が当たり前だったのに、
今は一人になるのが凄く怖い。

そんな胸の内を明かしてくれた彼に、
彼女は言った。

私は人間だから、
頑張っても100年くらいしか生きられない。
だから、壮介くんを
いつか置いていく事になると思う。
それでも生きて居る限り、
壮介くんの隣に居させて。


…と。

その後、彼は水族館でバイトではなく、
正式に飼育員として働く事になり、
2年の月日が流れた。

二人の思い出は、その後も沢山増え続け、
アルバムももう三冊目。
その事が堪らなく嬉しい彼は、
彼女に感謝の言葉と共に贈り物を。

贈り物は指輪。
雪の結晶を象った特別な雪の指輪。

命ある限り隣に居させて、
そう言った気持ちが今も変わらないなら、
ボクと結婚して
…と。

彼の勤める水族館で
行う事になった結構式。
青に囲まれた空間に、
彼が優しい雪を降らせる。

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今まで何度もキミのために
雪を降らせてきたけど、
これは…これだけは、
キミにしか降らない雪だよ。
しかも絶対に溶けないって言う
特別な雪。

この雪に誓うよ。
キミを絶対幸せにすると。

2017年5月10日水曜日

百花百狼

188本目の乙女ゲーム。
D3Pさん、REDさんの
PSVita用ソフト。

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戦乱の世に、
互いを憎しみ合う
敵対関係にあった甲賀と伊賀。

所が織田信長による伊賀の乱により、
伊賀が滅ぼされた。
残った伊賀の者達は、
敵である甲賀に取り込まれる形に。

そうして甲賀の長と伊賀の長の妹が
互いの平和の象徴として結婚し、
二人の間に生まれた主人公。

年の近い者同士、
仲良く過ごしてはいるものの、
みんなは忍びの任務についてる中、
未だ任務をこなした事のない主人公。

彼女が焦りを感じる中、
突如届いた石田三成からの文。
その文により主人公達は京へと赴く。

初任務を仲間と協力し、
無事にこなしたと思われた彼女だったが、
そこで里の、仲間の、
そして彼女自身の運命を
大きく狂わせる大事件に巻き込まれて。

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攻略キャラ
 ・月下丸(cv.羽多野渉さん)
 ・黒雪(cv.下野紘さん)
 ・百地蝶治郎(cv.鳥海浩輔さん)
 ・服部半蔵(cv.津田健次郎さん)
 ・石川五右衛門(cv.緑川光さん)

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月下丸
黒雪
服部半蔵

※攻略した順番に記載させて頂いてます。
 ☆はお気に入りキャラ。


-----☆★☆-----


とてもおもしろい作品でした。
D3Pさん、不評続きでしたが、
これは本当に良作だと思います。

悌太さんの絵の可愛い雰囲気に反して、
結構キツイ内容でした。
あぁ、忍びの世界なんだなと、
そんな内容がとても切なかったです。
でも、逆にその切なさが
とても良かったと思います。

キャラはみんな魅力的で、
サブキャラも良かったと思います。

個別のルートも、
本筋は同じものの、
キャラごとに色々と工夫されているので、
周回プレイもそんなに飽きてしまう事なく、
プレイする事が出来ました。

スチルも音楽もとても良かったです。

主人公も、ただ守られるだけでなく、
頑張る子なので、
大変好感が持てました。

ただ、主人公が混ざっている輪で
お話が進んでいる時に、
セリフの所の窓ではなく、
みんなの輪の中に
彼女の立ち絵がある事に驚いて、
最初そこに違和感を感じてしまいました。

でも、第三者視点でプレイされる方は、
逆にいいというポイントかも知れません。
ただ、私は自己投影して楽しむタイプなので、
立ち絵として向こうに彼女がいる事で、
主人公=自分と思いづらい感じにはなりました。

そんな印象を受けましたので、
私同様、自己投影して楽しみたいタイプの方は、
そこだけ注意してプレイされるといいかと。

それ以外は本当にとても良かったです。

本当は全員行けそうな勢いでしたが、
月下丸が誰のルートでもとても素敵で、
そんな彼を放置して、
他の方と恋に落ちるなんて、
これ以上は無理!…という思いから、
五右衛門さんを途中で断念してしまいました。

それくらい好きって思える月下丸と
出会わせてくれたこの作品に感謝です。

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好きキャラ
1.月下丸
2.半蔵さん
3.黒雪

ただ黒雪は選んであげないと
申し訳ない感じはあります(笑)

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オススメ度:★★★★
個人的満足度:★★★★

2017年5月9日火曜日

KLAP!! ~Kind Love And Punish~ Fun Party/If Story/周防壮介

梶裕貴さん演じる雪女の幽魔、
周防壮介のIf Storyのネタバレ感想です。


-----☆★☆-----


だいたい、
ちょっと考えれば分かるでしょ?
留学なんて面倒な事、
このボクがした理由。

そんなの…
キミに会いたいからに
決まってるじゃん!


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留学なんて面倒な話が来た
…そう思った彼だったが、
留学先が彼女の学校と知り、
即参加を決意。

だって、彼女に会いたかったから。

ビジュアルの良い彼は、明人とともに
いつも女子に囲まれて居たものの、
その騒がしさにウンザリするだけで
全く興味を示さなかった。

好きなのは彼女だけだったから。

またあの頃のように、
彼女とともに学校生活を送り、
みんなで彼女をからかったりと
楽しく日々を過ごす中
迎えたバレンタイン。

彼女から渡されたチョコで、
みんなで喧嘩をしたりもした。
誰のチョコが特別なのかと。

明人も奏も、
自分のチョコに特別なものを
感じたって言うけど、
それ勘違いだよね?

どう考えたって
キミの本命はボクでしょ?
だってさ、本命なの?って聞いたら、
キミってば顔真っ赤にして逃げ出したし。


彼はそんな風に思ってはいるものの、
当の彼女はと言えば、
その事については何も話してくれなかった。
そうして、結局誰が本命なのか、
分からないまま終わったバレンタイン。

月日は流れ、三月を迎え、
彼らの留学も終わりが近づいて来た。
初めは不安しかなかったものの、
彼らなりに人間の生徒に馴染み、
沢山の思い出を作った様子。
そんな彼らの留学の終わりを
安堵しつつも、
少し寂しくも感じていた彼女。

もうこれで彼に会えなくなってしまうから。

そんなひな祭りの日、
彼は彼女を待ち伏せて
センセー、今日ってなんの日?
と尋ねると
ひな祭り」と返された。
他にもあるでしょ?
覚えてないかも?と思いながら尋ねると、
壮介くんの誕生日」と答えた彼女。

大切な生徒の誕生日だから、
彼女はそう言ったけど、
それじゃ満足出来ない。

みんなと同列なんてイヤだ。
ボクだけが特別じゃないと。


だからプレゼントが欲しかった彼は、
センセーをちょうだい
と彼女に頼んだ。
ボクだけの彼女になってよ」と。

そうして2人は恋人に。

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私でいいの?
なんてキミは訊いたけど、
いいに決まってるでしょ?
キミが好き、
キミじゃなきゃダメだから。

2017年5月8日月曜日

KLAP!! ~Kind Love And Punish~ Fun Party/If Story

if、もしものお話。

もしものお話ではあるものの、
本編の続編的なポジションのお話。

主人公は前作の生徒とは、
誰とも恋愛関係になっていない設定。
生徒は亮を含め全員が、
彼女への想いがある様子。
引率の先生二人に関しては、
彼女への想いは不明であるものの、
好感度は高い様子。

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逢魔での調教師生活を
無事に終えた主人公は、
ぬらりひょん校長の紹介で
人間界の普通の高校の教師に。

大変だった教師一年目の
逢魔での日々に、
時折思いを馳せながら、
新しい生活を送って居た。

そんなある日、
彼女の学校に姉妹校から
留学生が来ることに。
その発表が校長からあったその時、
既に学校に来ている
留学生が職員室へと現れた。

聞き覚えのある声に誘われ、
彼女が視線を送った先には、
なんと逢魔時代の教え子達が。

彼女は知らされて居なかったが、
逢魔の黄泉校は
現在の彼女の勤務している学校の
姉妹校だったのだ。

今回の留学は、
かねてよりぬらりひょん校長が、
政府に要請して居たもので、
今回、初めて
試験的に許可が下りたんだとか。

そうして初の留学生に選ばれたのが、
既に卒業した彼らだった。
現役の黄泉校生では、人間界の学校で
暴走してしまう恐れがあるから。

そして彼女の教え子7人だけでなく、
監督として2人の先生までもが
彼女の高校にやって来て、
みんなで寮で生活しながら、
9月から3月まで過ごす事に。

当然幽魔だとバレてはいけない中、
相変わらずマイペースに
騒動を起こす彼ら。

そんな彼らに
ヒヤヒヤされられながらも、
楽しく日々を過ごす中、
次第に彼女の心の中で
彼が特別な存在になって行く。

…そんなifな物語。

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1.燈真、カミル、亮
2.壮介、明人、奏
3.紫苑、忍
と3つのグループに分かれており、
共通⇒グループ別と話が進む作り。
個別ルートは特になく、
終章のENDで攻略キャラのEND。

END以外のCGはすべてSDで
ENDのCGのみ通常スチル。

9月から3月の短期間の
月ごとにあるイベントを
取り上げて作られている物語。
容量的には短めで、
サクサク進められる長さ。

2017年5月7日日曜日

百花百狼/服部半蔵

津田健次郎さん演じる
服部半蔵さんのネタバレ感想です。


-----☆★☆-----


俺は今のおまえを誇りに思っている。

だからもういいのだ。
おまえは死んではならぬ。

生きて欲しい。
そう思ったのはおまえしかおらぬ。
俺にはおまえしかいない。


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伊賀の忍びだった彼は、
伊賀が滅びるずっと前に、
里を離れ、家康に使えていた。

彼女の母のかがりとは、
年も近く、幼馴染のような存在だった。

そんな彼女の母に、
家康の任務を遂行中に再会し、
身ごもっているかがりが、
彼に「連れて逃げて欲しい」と頼んだ事があった。

伊賀が滅んだ事も、
かがりが甲賀の長に嫁いだ事も知っていた。
困っている様子なのも見て取れた。

しかし、彼は忍び。
任務を遂行する事が最優先。
だから答えた。

今は任務中ゆえ、請け負えぬ。

…と。

でも、彼女に出会ったから。
あの時の事を思い出しては悔やんでしまう。
あの時彼が助けていたのなら、
彼女の母は自害せずに済んだだろうか?と。

決してそんな事を考える事などなかったのに。
いつも任務が、主の命が最優先。
それが忍びという道具の定め。
心など必要ない…と思っていたから。

所が家康に命じられ、
秀吉殺しの大罪人とされた彼女が、
秀頼の後見人争いの駒にされ、
忍びに命を狙われる事となった時、
その彼女の命を守る事に。

最初はただの任務だった。
役目だから守っていたハズだった。

けれど、自分とは正反対の
いつも心をひらいている彼女と
三月にも渡り旅をしているうちに、
彼の中で何かが変わってきた。

弱く守られる存在だったハズなのに、
彼女は「生きたい」と彼に告げた。
辛く苦しい中、必死に前に進もうとしていた。
そんな姿に心が動き、
いつしか彼女に忍びの技を教えるように。

そうして徳川を除く
五大老の差し向けた忍びを
共にかわすうちに、
二人の呼吸はピタリとあい、
背中を預けあって戦う程に。
互いの死角を互いに補い合いながら。

彼は気づいていた。
自分が導いたこの忍びは、
既に徳川忍組をも超えていると。

二人ですべての忍びを退け、
もう追われる事はない…と、
一息ついた頃、新手が現れた。

投げられた武器を見て、
彼女もそれがどこの忍びなのか
瞬時に気づいてしまった。

だって、それは自分の里のものだったから。

何処かで信じていた。
甲賀が自分を追う事なんてないと。
それは彼女の願望でもあったのかも知れない。
けれど、その考えが甘かった。

忍びを退けられた徳川以外の五大老は、
それぞれ4人が甲賀を雇った。

雇われた甲賀は、
4つの組に別れ、
それぞれの大老の依頼により、
同じ里の仲間であった彼女を討つ事に。

選ばれた忍びの中には、
共に京での任務もこなし、
幼い頃より共に過ごした
伽羅、猿之介、霞…そして蝶治郎も居た。

その事を教えてくれたが月下丸だった。

元々月下丸が彼女を伏見の牢から助け、
忍びに襲われて毒針にやられた所を
半蔵が助け、月下丸に解毒剤を飲ませて、
彼女だけを連れ去った。
それが彼の任務だったから。

そうして彼の解毒剤で命を救われた月下丸は、
猿之介から事情をきき、
再会した弟の黒雪とともに、
彼女を助ける事に。

久しぶりに会った彼女が、
忍びとしての腕を上げて、
更には彼を信頼している様子を見た二人は、
側で守るのではなく、
自分たちが殺す事なく
甲賀の忍びを退ける形で、
彼女を守る事を決意した。

二人にとって、
彼女はとても大切だったから。
たとえ彼女が選んだのが
彼だったとしても。

二人に助けられ、先を急ぐ彼ら。
けれど、行く先に待っていたのは、
甲賀の忍びの中でも、
特に彼女と親しかった者たち、
猿之介、伽羅、霞、そして蝶治郎だった。

傷つけたくない。
でも、生きたい。
彼に救われた大切な命だから。


そんな彼女の想いに気づいた彼は、
彼女に「傷つけたくないのならかわし続けろ
と言う。
おまえには俺がついている」と。

その言葉を励みに、
猿之介達三人を必死にかわす彼女。
残る一人の蝶治郎は、
彼が一人で対する事に。

最強の忍びと呼ばれる彼。
常の彼ならば、
もう少し楽に戦えたかも知れない。
けれど、彼女と過ごす中に、
彼女への想いが芽生えてしまったから。
彼女が傷つけないと望むのならば、
それを叶えてやりたいと思った彼は、
気絶させる…というやり方で戦う事に。

更には、友からの執拗な攻撃に、
時に彼女が負けそうな心になると、
彼女のサポートに入り、
かわし続けろ、俺がいる」と
言葉を掛けた。

ギリギリの戦いの中、
それでもあと少しでかわしきれるという所で、
彼女の体力が限界になり、
霞のはなった武器が彼女目掛けて飛んできた。

かわせない!

そう思った彼女を突然現れた彼が、
抱き込むように庇い、
その背に大きなキズを負った。

無事に全員を気絶させる事に成功したものの、
彼の傷はかなりの深手。
にもかかわらず、
そのタイミングで、
今度は彼女の父、甲賀の長が現れた。

そこで知らされた衝撃の事実。
それは彼女の母は自害ではなく、
父に殺されたという悲ししいものだった。

彼女の母のかがりは、
伊賀に伝わる秘薬の製造方法を知っていて。
彼女の父はそれが欲しかった。
だから身重の彼女の母に、
子供を殺されたくなかったら作れ」と命じ、
伊賀では禁止されていたそれを
手に入れる事に成功した。

そしてそんな夫を許せなかったかがりは、
夫を殺そうとしたものの、
夫により返り討ちに。

そうして彼女の母は、
まだ幼い彼女を残してこの世を去った。

その秘薬が、
彼女と戦いたくない願う霞を
無理やり彼女と戦わせるために
使われた丸薬だった。

彼女の父が考えているのは、
いつも自分の事ばかり。
周りの人を人とも思わず、
すべて自分の意のままに動かせる
道具のように思っていた人。

真実を知り怒りを覚えた彼女は、
彼と共に父を討った。

-----

甲賀をも退けた二人は、
そのまま街道を使い、
忍びの隠れ里を目指した。

そんなある夜、
宿場に泊まった時の事、
彼の元に家康からの命が届いた。

彼女を始末せよ。

そう伝えられた。

なぜ俺なのだ?
なぜ彼女なのだ?


主の命令は絶対で、
忍びは心を閉ざして
ただ命令に従う道具。

ずっとそうして生きてきたのに。
大切な人と出会ってしまったから、
大切だという想いを知ってしまったから。

彼は初めて主の命を
素直に聞く事をためらってしまった。

そうして再び旅が始まり、
人気の少ない場所へと出た所で、
ここでお願いします
と彼に告げた彼女。

彼との生活の中で、
忍びの腕を磨いた彼女は、
彼が深夜に部屋を出た事に気づき、
家康からの新しい命令が、
自分を始末する事だと知っていた。

それにとうに決心はついていた。
五右衛門にさらわれそうになった時、
彼の任務の内容が変わったらどうするか?
そう問われた時に、
彼女はハッキリと答えていた。

半蔵様に救われた命。
だからその時は精一杯戦います。
それが半蔵様への恩返しになると思うから。


…と。

だから戦うつもりだった。
そうして二人は対峙したものの、
彼が先に膝をついた。
まだ刃を交える前に。

だって、無理だと思ったから。

今までは任務とあればなんでも出来た。
けれど今回ばかりは無理だった。
彼女だけは討てなかった。
彼が唯一生きて欲しいと願った人だから。
彼が唯一愛した人だから。

その後、徳川忍組と
彼女と共に戦い、
甲賀のものを傷つけなかった彼の為に、
彼女もまた徳川忍組を
誰一人として傷つける事なく退けた。

そうして二人が隠れ里についた時、
そこには既に家康が待っていて。
彼女が討たれた証が必要だと。

度重なる戦いで
血に染まった彼女の装束の一部を
その証拠として彼は家康と共に持ち帰った。
彼女に想いを伝えてから。

しばらくして彼は家康の元を去る事に。
彼女と共に戦った際に、
背中に受けた傷が原因で、
以前のような忍び働きが出来なくなったから。

家康は武士の身分を与えるから
…と彼を引き止めたものの、
忍び働きで仕えられないのなら去ります
…と、忍びの隠れ里を目指した。
愛する彼女の待つ里へ。

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生きて欲しいと思ったのはおまえだけ。
愛おしいと思ったのもおまえだけ。

だからこれからは俺と共に生きてくれ。

2017年5月6日土曜日

Dance with Devils/楚神ウリエ

近藤隆さん演じる
楚神ウリエネタバレ感想です。


-----☆★☆-----


ねぇ、この気持ちが満たされるまで、
相手をしてよ。


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夢魔の家系に生まれた
彼の両親は不仲だった。
魔界六貴族の1つである
フューザー家の血を残すと、
次々と女遊びの絶えない父のお陰で、
母の他に沢山の妾が居て、
兄弟は30人を越えていた。

そんな父に愛想を尽かした母はと言えば、
父を悪し様に言いながら、
自分も外に男を作っている始末。

家に寄り付かない両親と、
異母兄弟だからか、仲が悪かったり、
無関心だったりの兄弟。

更には長男の彼は、
特に父に似ている事から、母に疎まれ、
こんな子を作らなければ良かったと、
存在を否定されてしまう。

そんな彼にとって唯一の救いが幼馴染のレム。
完璧な彼が自分を買って頼ってくれる。
その事がたまらなく嬉しくて、
気付いたら家族よりも多くの時間を
彼と過ごしていた。

それでも満たされない。
綺麗な蝶々達に癒しを求めても、
残るのは虚しさだけ。
それでも一時の慰めをと、蝶々達と戯れる。

そんな彼にとって、
グリモワールの器の彼女は、
みんなのほしがる珍しい蝶々だった。
そう、最初はそれだけだったのに。

他の蝶々たちのように
簡単に自分に落ちない彼女に対し、
次第にイライラが募り始めた。

なんだってこんな気持ちになるんだろう?
僕らしくない。


彼にも理由が分からなかった。

そうして何をしても満たされない彼は、
女の子に囲まれながらも思って居た。
母に存在を否定された自分を
心から愛してくれる者など居ないと。

なのに彼女は違った。
彼の笑顔に隠れた寂しさを見抜き、
本機で心配してくれたから。

そうしてダンスパーティーの時に
気付いてしまった。

グリモワールの器だから、
いずれレムのものになるとしても、
僕は本当は誰か他の男が
君に触れるなんて耐えられない!


そう思うほどに彼女に夢中になっている事に。

もう隠すこともごまかす事も出来ない。
ただ彼女を愛してしまったから。

そうしてやっと気持ちを交わすも、
その夜にヴァンパイアの王が學園に現れて、
彼女の血を欲した。
それがグリモワールを手に入れると言う事。

その力は彼女の血に宿り、
手に入れるには、
その全身を流れる血を飲み干すしかない。

そうして狙われた彼女を助けるために、
生徒会の3人と、兄が命がけで逃してくれた。

二人で逃げてたどり着いたのは長野の祖父の家。
兄が祖父とエクソシストの修行をしていた洞窟で、
二人は祖父のノートを見つけ、
そこにグリモワールを
消滅させる可能性が書かれているのを見つけた。

アクマとヒト、両方の血が
混ざっているから力が宿るのならば、
どちらか一方の血を消してしまえばいい。

だから、彼の力で
アクマに堕とされることを望んだのに。

翌日目覚めた彼女からは、
二人で過ごした記憶が消えて、
ただ彼に忠実な眷属になっていた。

欲しかったのはあの日の君。
けれど、こんな可能性だって分かっていた。
それでも、どうしても諦めたくない。
どこまでも真っ直ぐで強情な、
芯の強い君に会いたい。


彼女の記憶を戻すために色々な事を試すも、
全く記憶は戻らず。
助け出した母に会わせても、
兄の姿を見せても効果は見られない。

諦めた彼は、あの想いの通じあった
奇跡のような瞬間を再現したくて、
魔界に帰るリミットギリギリ、
あのダンスパーティーの場所で、
あの日のドレスで再び彼女とダンスを。

彼の悲しそうな顔を
記憶がないながらも案じる彼女は、
ダンスをしながら
頭に何かフラッシュバックするものを感じた。

そうしてダンスがきっかけとなり、
忘れていた全ての記憶を取り戻した彼女。

その後、魔界のフューザー家で、
彼と共に暮らす事になった。

2017年5月5日金曜日

Dance with Devils/鈎貫レム/アクマ

斉藤壮馬さん演じる
鈎貫レムのアクマルートのネタバレ感想です。


-----☆★☆-----



彼女は容れ物などではない。
私のたった一人の大切な女性だ!


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彼女の誕生日。
それはグリモワールが覚醒する日、
かならずヴァンパイア達は
彼女を狙って来る。

そう警戒していた彼と彼女の兄。

そして捕らえられた
彼女の母の居場所が判明し、
グリモワールが覚醒する前に
助けださないと、
命が危険に晒される事から、
彼女を屋敷に残し、二人は母親の救出に。

ヴァンパイアの王は魔界だったので、
根城に居たヴァンパイアを倒し、母を奪還。

けれど、その頃屋敷では
予想外の出来事が起こっていた。

留守である彼の姿を模した彼の父親が、
なんとしてもグリモワールを手に入れようと、
彼女に近づいたのです。
彼女の愛する彼になりすまして。

魔力を使われてしまった為、
最初こそ違和感を感じていたものの、
すっかり彼だと信じた彼女。

所が一夜明けて再び彼と対面した時、
その発せられる言葉に
また違和感を感じカマをかけた所、
偽物だと気付いた彼女。

正体がバレたその頃、
母親を奪還した二人は屋敷に戻るも、
魔力の結界が張られて入る事が叶わない。

それでも父が
彼女を狙っている事を知った彼は、
その強い結界すら破り、中へ。

けれど父の方が一枚上手で、
そのまま魔界へとさらわれてしまう彼女。
更に、彼が追ってくる事を想定し、
生徒会活動を共にしていた
アクマ三人を呼んだ父は、
彼らに自分の息子を殺すよう命じた。

力が絶対のアクマの世界。
一番の力を持つアーロンド家当主に
逆らえる者は居ない。
そうして三人は彼とと戦う事に。

強い彼ではあるものの、
一対三では分が悪い。
さらには毒矢を射られ、動きを奪われる。
それでも彼は立ち上がった。
どうしても愛する彼女を救いたくて。

そんな想いで仲間達との戦いに勝利した彼は、
ボロボロの姿で彼女の元へ。

魔界で一番強い父。
それでも負ける訳にはいかない。
だって愛する人を
救う戦いなのだから。

そうして何度も負けそうになりながらも、
愛する人を守りたい想いで
ついに父を倒した彼は、
その後父から、当主の座を譲られた。

彼女は無事に誕生日を過ぎ、
グリモワールは消滅。
父が前魔王であった彼女の中には、
半分アクマの血が流れているものの、
グリモワールがなくなった今は
普通の人間のよう。

そして彼はと言えば、
父に当主の座を譲り受け、
目的のグリモワールもなくなった今、
人間界に留まる理由もなくなってしまった。
当主の代替わりは狙われやすい事もあり、
近々魔界に戻る事に。

だから彼女に拒まれようと攫う決意をした。
だって、彼女を
もう手放す事なんて出来ないから。
いつも信じてそばで支えて欲しいから。

たとえ、自分のその願いが、
彼女を家族と引き離す事になったとしても、
それだけは譲れなかった。

そんな想いを彼女に告げ、
魔界に来て欲しいと話すと、
すんなりと承諾してくれた彼女。

彼女も同じ。
家族と離れるのは寂しいけれど、
彼と離れるなんて出来なかったから。

その後、魔界で暮らし始めた二人は、
正式に結婚する事に。

これはアクマの契約。
魂が縛られて、
永遠に離れる事が叶わない。

-----

でも大丈夫。
だって、あなたから離れたいなんて、
これから先も絶対に
思うハズなんてないのだから。

2017年5月4日木曜日

Dance with Devils/鈎貫レム/ヒト

斉藤壮馬さん演じる
鈎貫レムのヒトルートのネタバレ感想です。


-----☆★☆-----


例え君にどんなに拒まれようと、
もう離してやる事など出来ないんだ。


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王を失った魔界で最も力のある家、
それが彼の家であるアーロンド家。
その嫡男として生まれた彼は、
当主である父の言う言葉に従い、
ただ家の為と生きてきた。

そうしてアーロンド家の
地位を守るために必要となったのが、
禁断のグリモワール。

だから彼女に近づいた。
その手がかりを得る為に。

先を読み策を弄して手を打つ。
けれど彼女の打つ手は
彼の予想を超えるもので、
そんな彼女とのやりとりを楽しむうちに、
次第に彼女に興味を持ち始めた。

けれど知ってしまったから。
グリモワールの
手がかりだと思っていた彼女が、
そのグリモワールの器だと。
その体に流れる血液こそが
禁断のグリモワールだと。

だから距離を置こうとしたのに。
命に従い手に入れる為には、
彼女の命を奪う必要があるから。
余計な情が湧けば、
任務の遂行に支障が出るから。

しかし、時すでに遅し。
もう理性では抗えない程に、
彼女を愛してしまっていた。

そうして彼は決意した。
誰にもグリモワールを奪わせはしないと。
彼女は私が守ると。

だって愛しているから。
父に逆らってでも手に入れたい程に。

そうして敵対していたハズの、
エクソシストである彼女の兄と
共同戦線を張り、
ヴァンパイア達と戦った彼。

けれど敵は数も多く力も強い。
いくらアーロンド家の
嫡男として生まれた彼でも、
その限界を越える数の敵に
苦戦を強いられた。

もうダメだと思った時、
ともに活動していたアクマ仲間で、
生徒会メンバーの3人が
助けに来てくれた。

みなの力を借り、
無事にヴァンパイアの王を倒したものの、
死に際に彼女に呪いをかけられ、
彼女には、アクマの四人も
兄も敵に見えるように。

さらには彼女の中のグリモワールが、
覚醒の時間となった事で、その力が暴走。
苦しみもがきながら、
力を放出させる彼女に、
とても近づく事が出来ない。

それでも、「レムさん、レムさん」と、
ただひたすらに愛する人の名を呼ぶから、
だから彼は仲間が止めるのも聞かず
彼女へと近づいた。

けれど彼女には
彼がヴァンパイアの王にはしか見えず、
愛する人だと分からぬまま、
近くの刃物で刺してしまう。
「いや、来ないで!」と。

そんな拒絶の言葉も、刺された痛みも、
全てを振り払い、
彼はただ彼女を抱きしめた。

彼女を愛しているから。
自分だけが
彼女を救えると信じているから。

そうして重ねられた唇から
流れ込む温もりに、
彼女の呪いはとけたのか、
彼が愛しい人だと気づけた彼女。

そうしてグリモワールの覚醒が終わり、
これからはただの女子高生として、
平和に暮らせるようになった彼女。

アクマとヒト。
種族が違う二人だけれど、
きっと力を合わせ、周りを説得し、
みんなに祝福される
二人となれる事だろう。