2017年5月26日金曜日

剣が君/鷺原左京/幸魂:初夏の太陽

保志総一朗さん演じる
鷺原左京のネタバレ感想です。


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旗本の息子として生まれた彼は、
周りにはただの浪人だと言っていたが、
その所作の美しさや、
身のこなしからも、
気品が溢れているような人。

見目麗しく、絵草紙の
お姫様みたいな外見にそぐわず、
剣の腕は一流。

そんな彼の愛刀は蛍丸。
鷺原家に代々伝わる宝刀で、
何代も前の先祖が、
この蛍丸を持って戦に臨み、
刃が欠け、戦に惨敗。

そんな折、
夢の中でその剣に蛍が群がり、
黄色く発光しているのを見た先祖は、
目覚めた後に
真っ先に蛍丸を確認してみると、
刃こぼれが直り、
見事な刀に
生まれ変わっててたんだとか。

その後、その刀で
戦果を上げた先祖の功績により、
蛍丸は宝刀として、
代々鷺原家に受け継がれて来た。

そんな鷺原家は、天国の一族で、
宝剣づくりをして居た家系。
天下五剣と言われる剣も、
その一族が作ったもの。

そんな家柄に生まれた彼だが、
まだ彼が幼かった頃、
家族が鬼に
無残に殺されてしまったのだ。

たまたま体調を崩していた彼は、
乳母たちに世話をされ、
留守番をしていたのだが、
父、母、身重の姉は、
家族で出かけていて、
その道中、まもなく家に
辿り着くという辺りで、
人さらいの鬼と遭遇。
そんな現場を見てしまった事から、
殺されてしまったのだ。

その犯人き斬鉄と言う名の鬼。
彼は仇討ちを申し出て、
斬鉄の情報を集める為、
裏の世界に身を置き
家族の仇である斬鉄を
探し続けていた。

そんな道中に参加した花嫁行列。
箱根峠で、斬鉄の配下である
シグラギと言う鬼が、
強盗を働いているという
情報を得たからだった。

狙われた時に仕留める。
目的はそれで、
ただその為に参加したハズなのに、
彼は彼女と出会った事で、遠い昔、
まだ両親も姉も健在だった
幸せな日々に感じていた
懐かしい感覚を思い出してしまった。

そうして期待どおり
箱根峠で襲ってきたシグラギ一味。
彼女を攫った
シグラギたちをを追いかけ、
無事彼女を救出し、
シグラギも討った彼。

残るは斬鉄一人。

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その後、花嫁行列が無事に終わり、
江戸へと戻った仲間たち。
そんな中、吉原で
聞きこみをしていた彼の耳に、
鬼に詳しい花魁の話が飛び込んで来た。

彼女に話を聞きに行くと、
居場所を教えてくれたのだが、
その時無理やり酒を飲まされてしまう。

そう、彼女は斬鉄が
贔屓にしている花魁で、
彼に協力する振りをし、
薬の入った酒を飲ませ、
彼を罠にハメたのだった。

当然、教えられた場所に
斬鉄はいる訳もなく、
彼は自分よりもはるかに弱い鬼に、
薬のせいでうまく体が動かない為、
斬りつけられてしまった。

岡っ引きの登場で、
無事に逃げおおせたものの、
深手であるし、薬も効いて、
思うように逃げられない。
そんな彼を助けたのが、
彼女の家の近所の矢ノ彦。

夜遅い時間に
表を走っている矢ノ彦を
見つけた彼女が声を掛けると、
彼は手が血まみれになっていて。

事情を訊いた所、
ケガをしているお侍さんにお水を届ける
…というのだ。
夜も遅いし、
子供が一人では心配だ
という事で、
付き添った彼女の目に
飛び込んできたのは、
大怪我をした彼だった。

その後、父の入浴のすきに、
こっそりと自分の部屋に彼を運び、
彼に言われるまま、針と糸、
そして焼酎と布を用意した所、
彼は自分でその深い刀傷を
縫い始めた。

助けたはいいけれど、
そんな深手の
手当の仕方も知らず、
言われるままものを用意して
手伝った彼女だったが、
どうしても医者に診せたい
心配になってしまう。
それでも彼は医者も誰も
呼ばないで欲しい
…と頼んだ。

そうして手当を終えた彼は、
着物を着替え、
そのまま倒れるように
眠ってしまった。

その後、自分で手当をした箇所が
ひどく腫れてしまった彼は、
それが原因で倒れてしまった。
心配した彼女は、彼との約束を破り、
花嫁道中の仲間の鈴懸に
助けを求めた。
そうして鈴懸の手当を受けた事で、
傷は快方に向かう事に。

そのまましばらく彼女の家に
匿われていた彼。
彼を最初に助けてくれた矢ノ彦が、
何も出来無い彼が
退屈しないようにと
おもちゃを持って遊びに来てくれて。
その時、文字が読めない事を
聞いた彼は、矢ノ彦に
いろは唄を教えてくれた。
そしてコマ回しも。

そんな風に知らない事を
色々と教えて、
毎日練習すると上手になる
…と教えてくれた彼が
大好きになった矢ノ彦は、
教えてくれた彼とそして彼女を
喜ばせたい一心でうたを覚え、
コマの練習もした。

一方斬鉄への仇討ちはというと、
斬鉄が御前試合に出ていると聞き、
斬鉄と対戦するときに、
仇討を果たそうとしたものの、惨敗。

一度は仇討ちを諦めたものの、
やはり諦めきれなかった彼は、
再び彼を探して仇討ちを挑む事に。

卑怯な斬鉄が仲間を
連れて行く所を目撃した彼女が、
たまたま出会った螢に
それを知らせた事で、
花嫁行列の仲間が全員集合、
彼の仇討ちを助太刀してくれた。

斬鉄の仲間を他のみんなが
押さえてくれた事により、
彼女との時間が彼の心を変え、
仇討ちを果たして死ぬつもりが、
生きる為の仇討ちという
捉え方になった事により、
無事に家族の無念を
果たすことの出来た。

その後彼は国にはかえらず、
矢ノ彦のように、
貧しくて学ぶ事の出来無い子供達の為に、
寺子屋を作る事にした。

これからは学問が必要な時代が来るから、
誰でも学べる場所は必要だ
…と。

それに何より、
知らない事を知りたいという純粋な気持ち、
知らない事を覚えた喜び、
出来無い事が出来るように
なった時の感動…など、
忘れていたそんな気持ちを
矢ノ彦が彼に見せてくれたから。

だからもっとそんな笑顔を
沢山の子供達に見せて欲しくて、
彼は寺子屋を作る事を決意。

そうして彼女と共に、
江戸で暮らす事なったのだった。