2017年5月29日月曜日

DYNAMIC CHORD feat.Liar-S V edition/珠洲乃千哉

岡本信彦さん演じる
珠洲乃千哉のネタバレ感想です。


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焦らずゆっくり、これからも
あなたに想いを伝え続けます。

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S-leeperを結成した芹の後輩の千哉。
彼は先輩である芹に
高校の文化祭だけでいいから
…と頼まれてギターとして参加。

元々音楽は好きだったが、
誰かと一緒にバンド活動をしようなんて
全く考えて居なかった彼。

そうして半ば無理やり巻き込まれ、
経験したバンド活動。
それなりに楽しかったけれど、
それだけだったハズなのに。

その後もS-leeperを続けたいという芹は、
朔良というギター・ボーカルを連れて来た。
そうして朔良の歌声を聴いた瞬間、
彼の中の意識が変わった。

それは彼に襲撃を与えるに
十分な歌声だったから。

歌唱力はもちろんの事、
朔良の持つ歌声は、
彼の理想の声だったから。
その声に魅了され、
こんな歌を作りたい、あんな歌を歌わせたい
…そんな気持ちが湧き出したのだ。

そうして元々コピーバンドだった彼らが、
オリジナルバンドとして活動を開始し、
彼は朔良に次々と曲を作った。

それなりに人気も出て、
彼の曲も評価されていたアマチュア時代。
いつかこのメンバーでメジャーデビューを
…なんて思っていたのに。
ベースの槇の脱退により、
一時は彼も朔良も荒れてしまった。

だって、手応えを感じていたから。
このメンバーならやれるって。

そんな時、芹が新しいベースを見付けて来た事で、
S-leeperは再び動き出した。

新しいベースの宗太郎は、
人懐っこい性格で、
最初こそ、彼も朔良も反発していたが、
いつしか気の合う仲間になれた。

そうしてついに彼らは
念願のデビューを果たしたのだ。
S-leeperからLiar-Sと名前を変えて。
デビュー曲はドラマとタイアップという事もあり、
瞬く間に売れ、
彼も朔良もそのビジュアルが注目された事で、
一躍人気バンドに。

順風満帆だった。
この調子でどんどんLiar-Sの曲を
朔良の歌を世間に届けて行くんだ!
そんな風に思っていたのに。

気づくと世間は彼らのビジュアルと
デビュー曲ばかりを騒ぎ立てる。
音楽番組に出たとしても、
求められるのはデビュー曲とビジュアルのみ。

まだ色んな曲があって、
どれもみんなに聞いて欲しい曲なのに。

そんな思いが胸の奥に降り積もる。

そうして同じ思いを抱えた朔良の歌声から、
S-leeper時代の情熱が消えた。

朔良の歌が、声が好きだったから。
本当に大好きだったから。
彼の声を歌を活かしたいと作った曲を
そんな風に歌う朔良に耐えられなかった。

そうして彼のギターからも、
当時の熱は消えてしまった。

チグハグなどこか噛み合わない演奏。
それでもファンは気づかない。
Liar-Sが好きだと、カッコいいと
彼らをもてはやしてくれる。

何がファンだよ。
僕達の演奏が昔と違う事も
全く気づいてないくせに。

すっかりやる気も情熱も失った
彼と朔良。

そんな時、芹が提案してきたのだ。
S-leeper時代、音楽の知識もゼロで、
初めてロックに触れたという彼女を
Liar-S公認の『友達』にすると。

当時は彼女の言葉に
心動かされたりもした。
たどたどしい感想ながらも、
心のそこから彼らの音楽を愛し、
彼が歌に込めたものを
朔良が歌声に込めたものを
彼らが演奏に込めたものを
しっかりと感じ取ってくれているのが
わかったから。

でも今はもう違う。
あの頃の自分たちではないし、
もうきっと戻れない。

だから彼女を拒絶した。
当時の自分たちを知っていて、
熱くその思いを語ってくれた人だから。

それでも彼女はめげなかった。
何度も何度もぶつかって来た。
そうして素人ながらも、
彼の話に耳を傾け、
少なくとも自分はLiar-Sの新曲を
聞きたいと思っていると、
今も熱い思いを注いでくれていた。

そんな彼女に感化され、
彼はMERIに頼まれた楽曲作成を
引き受ける事に。
事務所からも、作曲家として売れる事は
好ましいと言われたから。

それに何より夢だったから。
自分の音楽を沢山の人に届ける事が、
沢山の人に歌って貰う事が。

けれど、今の彼は、
自分のバンドのヴォーカルにすら、
その歌を歌って貰えない。

だから正直不安も大きかった。
そんな自分には重すぎるのではないかと。

そんな不安を抱えて挑んだ楽曲づくり、
所が彼が作る曲は、
すべて朔良に歌わせたいものばかりで、
何度作り直しても、
どうしても朔良の声に
あったものしか出て来ない。

大好きで、尊敬していて、
だからこそ裏切られたようで
大嫌いになった朔良なのに。

こうやって僕はいつまでも
朔良の呪縛から逃れられないんだ。

そんな思いに苦しんでいた頃、
彼女が教えてくれた。
どうしたら今の楽曲が、
Liar-Sらしい曲じゃなく、
MERIらしい曲になるのかを。

もっとキラキラした感じが
あるといいのかも?
そして女の子の恋を応援するような。

そんな彼女の言葉をヒントに、
彼は無事にMERIの曲を完成させた。

そうしてさらには、
何度も何度も囚われていた朔良の為の、
Liar-Sの為の 楽曲も作っていた彼。

だって、僕は朔良に歌って欲しいから。
そう、あの頃のように。

今まで彼女が再三説得を試みるも、
いい返事が貰えなかったけれど、
彼が思いを込めて作った曲が
朔良の心を動かした。

もう一度やってみる。

彼の作った曲が、
Liar-Sを再び動かしたのだ。

その後、サマーフェスへの参加が決まり、
Liar-Sはそこでデビュー曲だけでなく、
今回彼が作った新曲を披露する事に。

あの頃の情熱を思い出した彼らに、
もう怖いものはなかった。
フェスで歌ったデビュー曲も、
いつものそれよりもずっと熱がこもり、
それは観客にも伝わった。

けれど、「どうせデビュー曲だけの
顔だけのバンドだろ?
そんな声も観客の間から聞こえてきた。

所が、彼が思いを込めて作り、
朔良が思いを乗せて歌い、
メンバー全員が熱い思いで奏でた曲は、
すぐさま会場を虜にしてしまった。

やっと聴いて貰えた。
自分たちの音楽を。
届けたい思いが、今届いた。

メンバー達は喜びを噛み締めた。
これが新しいスタート。
もうLiar-Sは動き出した。

そうして彼女はLiar-Sの『友達』から、
彼の恋人となり、
今は彼だけを支える存在となった。

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淋しい想いはさせません。
あなたを笑顔でいっぱいにします。
だからこれからも僕の傍に居て下さい。 
決して離れず、ずっとずっと…。