2017年6月1日木曜日

月影の鎖-錯乱パラノイア-/榛名望

 成瀬誠さん演じる
榛名望のネタバレ感想です。


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自然界に存在する色を混ぜると、
最終的に黒になるでしょ、
暗闇みたいな。
 

色んな気持ちが混ざり合って、
真っ暗闇になった時にも、
君は月のように、
優しく照らしてくれるんだ。


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金銭的には恵まれた家庭。
けれど夫婦仲は冷え切っていて、
両親ともにあまり家におらず、
たまに戻る時には
それぞれ恋人を連れて来る。

そうして夜毎聞かされる声。

はじめは意味が分からなかったそれも、
彼の成長と共に、耐えられないものに。

そうか、聞かなければいい。
家にいなければ聞かずに済む。


そう気付いた彼は、
以来、あまり家に
寄り付かなくなってしまった。

まるで自分なんて居ないかのように、
好き勝手に振る舞う両親。
そんな家庭に居場所を見出せず、
帰る事も出来なくなって行った彼。

ある日、公園で寝ていた所を、
こんな所で寝ていないで家に帰れ…と、
声を掛けて来た青年が。

それが今の大事な友人、猪口渉。
猪口に話を聞いて貰った彼は、
居場所を見出せた気がして、
その後就職試験を受けまくり、
深海が社長をつとめる
コンサルティング会社に入社。

そうしてとある島の
財政立て直しを受けた彼の会社から、
社長と共にあの島に。

そこで出会った彼女。

出会いは夜の港。
暗い海を覗き込む彼女に
声を掛けたのは彼だった。
彼女の様子に、
自分と同じものを感じたから。

その後、彼女が
女将をつとめる店に通いつめ、
常連となった彼。

深入りせずに、
ただ時折食事をしに行き、
少しの時間話を聞いてもらう。
それだけで満足だった。

だって、彼女は
沈丁花のような人だから。
近づきすぎると、
その毒にやられて、
きっと離れられなくなってしまう。
そうして僕はダメになってしまうんだ。


そう思っていたのに。

祭りに出かけたあの夜から、
少しずつ変わり始めた。

決定的だったのは、
彼女の店での喧嘩。
客同士の揉め事を
仲裁しようとした彼女が、
逆に悪者のように
悪し様に言われる事が我慢ならなかった。
本当に彼女を想うなら、
傍観すべきだったのに。
耐えられずに怒ってしまった。

自分は市の行政側についている人間で、
さらには友人の猪口と居て、
軍人である友人も、
街の人々にとっては、
敵側だというのに。

その事件をキッカケに、
彼女は店を続ける事が
出来なくなってしまった。

一時の感情で、彼女のここでの
未来を潰してしまった。

けれど彼女はそれが嬉しかった。
本当なら、
自分が仲裁しなければならないのに。
悪く言われた事を彼が怒ってくれた事が。

その後、店を
続けられなくなった彼女は、
深海の誘いにのり、
コンサルティング会社の雑用をすることに。

二人同じ職場で働く中、
彼らは見つけてしまったのだ。
深海が執拗に
駐屯地にこだわる理由を。

それは深海が裏で武器商人をしていて、
ここに駐屯地を置くことは、
武器を販売する為だった。

そこで彼は立ち上がった。
だって彼女を愛してるから。
だから、彼女と
彼女の世界を守る為に戦おうと。

そうして無事に深海の
悪事を住民の前で暴くことに成功し、
店が営業出来なくなるほどに、
街の嫌われ者に
なってしまった彼女の信用も、
その一件により回復させたのです。

深海の会社はつぶれ、
副社長と共に、
島の財政の立て直しに参加した彼は、
三年掛けてそれを成し遂げ、
本土のコンサルティング会社から、
その手腕を買われ引き抜かれる事に。

そんな彼と共に、店を畳み、
本土に行く決意をした彼女。
だって彼を愛してるから。
コンサルティングの仕事を
頑張る彼が好きだから、
そばでそんな彼を
支える事が夢なんだとか。

本土に行っても、二人で助け合い、
末永く幸せに暮らして行く事でしょう。